【緊急連載】柔道ニッポンの落日(上)

 五輪会場で猛抗議する篠原監督
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 ロンドン五輪で日本の柔道男子が「金メダルゼロ」に終わり、正式競技となった1964年東京五輪以降、出場した11大会で初の屈辱を味わった。お家芸低迷の要因を検証し、再生への道を探る。

 上川大樹の敗退で「金メダルゼロ」が確定した直後、日本男子の篠原信一監督が取材に応じた。

 篠原監督は「これは私の責任。世界とのちょっとの差が非常に大きい」と声を絞った。『引責辞任』?その瞬間は予感させたが、一転、自身の進退には「(全柔連の)上が決めること。自分は決まっている合宿や大会を全力で頑張りたい」と、続投の意向を示した。

 篠原監督は北京五輪後の2008年11月に監督就任。ロンドン、そして16年リオデジャネイロ五輪への「2期8年」が既定路線だが、歴史的な惨敗を喫した以上、すべてを白紙とし、その上での続投なら納得できる。ところが最初から続投ありきを前提とした動きには「ムラ社会」「ぬるま湯」といった批判があってしかりだろう。

 監督の言う「上」の判断はどうか。全柔連の吉村和郎強化委員長は速攻で『続投』にお墨付き。自身は「俺の責任。進退伺を出さなきゃいかん」と辞意表明も、篠原監督と女子・園田隆二監督には「2人とも初めてだし、この経験を踏まえてもう1期やらせてもいいんじゃないか」。2期8年路線を崩さなかった。

 指揮官の首のすげ替えで解決するほど問題は簡単ではないが、「ゆとり教育はしない」と宣言して練習量を急増し、「石にかじりつく姿勢がない」といった精神論に頼る篠原監督では、4年後の変革が具体的に見えてこない。豪快で個性的な好人物でも、監督には結果が求められる。過密スケジュールの合宿で疲労を蓄積させ、肝心の本番で力を出せないのでは本末転倒。五輪以前から、選手や関係者の間では現状への不満や疑問視する声が出ていたという。(次回に続く)

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