【篠原信一コラム】「心の底から」金を目指したか-太田選手の言葉が心に刺さった
「リオ五輪・柔道男子66キロ級」(7日、カリオカアリーナ)
男子66キロ級で、ロンドン五輪銅メダリストの海老沼匡(26)=パーク24=は準決勝で世界王者の安バウル(韓国)に敗れ、3位決定戦でブシャール(カナダ)に一本勝ちし、2大会連続で銅メダルを獲得した。女子52キロ級は3大会連続出場の中村美里(27)=三井住友海上=が、08年北京大会以来2度目の銅メダルを獲得。日本勢は男女軽量2階級で銅メダル4個となり、全て決勝進出を逃したのは、女子が正式競技入りした92年バルセロナ五輪以降では初の不振となった。
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「ええぞ海老沼!いま、いま技に入れ!」「中村!先に技を出せ!」-。両選手の厳しい攻防を見ていると、テレビの前でついつい体が前後左右に動き、のけぞって声まで出していました。柔道初日の高藤選手、近藤選手に続き、中村、海老沼の両選手は本当に気迫のこもった試合を見せてくれました。
ただ、両選手ともに、この大会の一番の勝負どころを制することができなかった。オリンピックともなれば、そういった大一番を制する運も必要です。何がいけなかったとは簡単には言えませんが、審判の試合の裁き方も勝負には関係してきます。
しかし2人ともオリンピックで2つ目のメダルを獲得したことは、歴史に名を刻むこと。ケガがあったり、いろんな思いのこもった銅メダルをたたえてあげたいです。
フェンシングの太田選手にも注目していました。初戦で負けてしまいましたが、その後の太田選手のコメントが心に刺さりました。「金は本気で取りにいかないと取れない。言葉だけでなく、心の底から…」-。勝つことの喜びも知っている太田選手が、自身が本当に勝つ気があったのかと問いかけていました。「心の底から」-ほんまにそのとおりやな、と心にズシーンと刺さりました。そういったスポーツに対する思いや情熱が本当に大切なのだと、あらためて気づかされました。
競泳では16歳の池江さん。メダルには届かなかったですが、泳ぐたびに日本新をマークし、目標の56秒台も出ました。他の種目にも出るそうで、若い力が非常に楽しみです。伸び伸びと、今持てる力を出し切ってほしいです。(デイリースポーツ特命リオ五輪応援団長・篠原信一)