【篠原信一コラム】日本の強く美しい柔道をありがとう大野
「リオ五輪・柔道男子73キロ級」(8日、カリオカアリーナ)
男子73キロ級で13、15年世界選手権王者の大野将平(24)=旭化成=が、決勝でルスタム・オルジョイ(アゼルバイジャン)に小内刈りで一本勝ちし、日本柔道の今大会金メダル第1号となった。現在の階級制度になった00年シドニー大会以降、日本選手の同階級制覇は史上初で、日本男子としても金メダルは2大会ぶり。
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大野、よくやった!おめでとう!!
初戦から決勝まで危なげない試合運びで、本当に素晴らしい日本柔道を見せてくれました。1つの指導で勝つのも勝ちは勝ちですが、しっかり組んで一本を取る柔道にこだわっていただけあって、有言実行の美しい柔道で勝ったことに、感動やうれしさがこみ上げてきました。
大野の強さは、一番に精神力。そして立って良し、寝て良しのところと、受けの強さです。今日も圧巻の試合内容でした。
大野は天理大の後輩です。私が天理大の監督をしていたときに、高校生(東京・世田谷学園)だった大野の勧誘に行ったのが初めての出会いでした。柔道スタイルは今と同じで、73キロしかない体で100キロ以上の選手を相手に奥襟をつかんで大外や内股をくり出していた。そんな姿にあふれるような気持ちの強さが見えて、必ず強くなれる、チャンピオンになれると確信していただけに、本当に感慨深いです。
私が監督をさせてもらっていたロンドンは男子の金メダルがゼロだったし、今回もここまで取れていなかった。3日目で取れたことで、残りの選手たちも「よし、オレも!私も!」と続いてくれるでしょう。ここでの金メダルは大きいです。
松本薫については、連覇がかかった大会でプレッシャーもあったでしょう。準決勝で敗れてしまいましたが「手ぶらでは帰れない」と気持ちを切り替え、立派な銅メダルでした。試合してる時は野獣のような顔でしたが、表彰式の後はかわいらしい顔に戻っていたのを見て、気持ちもなごんだだろうなと、ホッとしました。
そして、何といっても、体操の金メダル!途中ミスもあってどうなるかと見ていましたが、チーム一丸となって金メダルを勝ち取りました。ああいう団体の絆は素晴らしいな、これがほんまのスポーツやなあと熱くなりました。金メダルラッシュで、柔道、体操、競泳に限らずこの後の競技へいい流れになりそうです。頑張れ、ニッポン!(デイリースポーツ特命リオ五輪応援団長・篠原信一)