桐生、さんま動画で爆走 レース前に見てリラックス「効果あった」

 「リオ五輪・陸上男子400mリレー・決勝」(19日、五輪スタジアム)

 男子400メートルリレー決勝で山県亮太(24)=セイコーホールディングス、飯塚翔太(25)=ミズノ、桐生祥秀(20)=東洋大、ケンブリッジ飛鳥(23)=ドーム=の日本が37秒60のアジア新記録で銀メダルに輝いた。

 これぞエースの走りだった。「前にいるやつは全員抜いてやろうと思っていた」。桐生は3、4番手でバトンを受け取ると、猛然と前を追った。相手が世界の猛者だろうと関係なし。高速でコーナーを駆け、有言実行のトップでバトンをつないだ。

 期待された個人では100メートルで1次予選敗退。ボルトと同組の異様な雰囲気にのまれた。ただ、切り替えの速さは桐生の真骨頂でもある。「振り返っても仕方ない。メダルだけは獲って帰ろうと」と、前だけを向いた。レース当日の昼は、大好きな明石家さんまの動画をみてリラックス。「笑っときたかったので思いっきり笑った。効果はあったと思う」と肩の力を抜き、世紀の爆走へとつなげた。

 走りの原動力は「強い人に勝ちたい」という素直な欲求だ。この日、観客席から声援を送った父・康夫さん(51)は「ドラゴンボールの孫悟空によく似ている。大きな舞台でライバルと出会い、走ることが楽しいんでしょうね」と、息子を人気漫画『ドラゴンボール』の主人公と重ねる。

 五輪の舞台を夢見たきっかけは、08年北京五輪の400メートルリレーだった。銅メダルを獲り、朝原がバトンを高く放り投げた名シーンに「日本すげ~ってなった」。今、その場に自分がいる。「自分と同じように画面の向こうの人が喜んでくれるならうれしい」と、充実感を漂わせて笑った。20年東京五輪に向けて「4年後はもっと強さと速さを併せ持った選手になりたい」と誓った桐生。ヒーローへの第一歩を踏み出した20歳の成長物語はまだまだ続いていく。

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