猫ひろし、スタート前にニヤリ NHKも異例の中継カメラで追う
「リオ五輪・陸上男子マラソン」(21日、サンボドロモ発着周回コース)
男子マラソンが強い雨の中、スタートした。お笑いタレントでカンボジア代表の猫ひろし(39)=本名・滝崎邦明=は、赤のタンクトップに紺のキャップをかぶり、前から2列目に陣取った。スタート前にはテレビカメラと目が合うと白い歯を見せニヤリ。すぐに真顔に戻ってスタートした。
NHKの中継も“異例”の対応だった。スタート時に猫を映し出すと、39分50分経過時点で、単独走行する猫がカメラで映し出された。実況の渡辺憲司アナウンサーは「あ~、滝崎選手ですね。カンボジアに国籍を変えまして。日本では猫ひろしの芸名で活動していました」と紹介。解説の高岡寿成氏も「4年前には残念ながら走ることのできなかったオリンピックですから、いろんな思いをもって走ってもらえるんじゃないですか」と期待した。
渡辺アナは「ちょっと表情苦しそうです」と伝え、スタート前に猫が「海沿いの風は気になるんですよね」と話していたエピソードを披露した。
猫の5キロ通過時点のタイムは17分58秒の最下位。トップが15分31秒で通過しており、2分30秒近く遅れたが、同10キロ時点で36分18秒。1つ順位を上げて154位となり、最下位を脱出した。
15キロ通過時点のタイムは54分28秒で、リタイア選手が出て2つ順位を上げ、152位となった。
25キロ通過タイムは1時間32秒07。出場選手は155人で、競技を続けている選手の中では下から2番目だが、またリタイア選手が出て、150位に順位を上げた。
雨は途中であがり、キャップをとり、険しい表情で走っている。
ゼッケンは本名の「TAKIZAKI 2187」。五輪の公式ホームページによると、猫は身長151センチ、体重55キロ。小柄な体で、各国の代表選手に交じって念願の五輪マラソンコースを走り出した。
猫は五輪代表を目指し、2011年にカンボジア国籍を取得。12年ロンドン五輪の同国代表に一度は選出されたが、国籍を取得してから短期間であることがネックとなり、出場が認められなかった。