【リオ五輪検証】手腕問われる大会運営-リオの教訓を東京に生かせ
「リオから東京へ 検証ジャパン(3)」
閉会式で、国際オリンピック委員会のバッハ会長はリオデジャネイロ五輪について「マーベラス(素晴らしい)な大会だった」と評価した。確かに南米初開催の意義と、心配されたテロを回避できたことは一定の評価にあたるが、大会運営全体においては課題だらけの大会だった。4年後にお鉢が回ってくる日本が、“反面教師”とするべき部分は多い。
調査機関の世論調査では、政治経済の混乱に治安の悪化などもあり、開幕直前の7月段階で、五輪に反対するリオ市民は50%を超えていた。期間中はその“モチベーション”の低さが目についた。
選手や関係者の宿泊施設、各競技場は突貫工事の影響もあり、水回りや立て付けなどで不備が続出した。現地紙によると、ボランティアは募集のあった5万人のうち3割にあたる約1万5000人が「欠勤」。多くの施設で、人手不足による混乱があった。
会場は国内人気の高い競技を除いては空席も目立った。チケット販売は8割までこぎ着けたが、大会組織委員会によると、購入者の11%は観戦せず、無料招待した子供たちも約半分が来場しなかったという。
東京においても、新国立競技場、エンブレム決定におけるドタバタ劇、開催費用の高騰で、現状でも都民、国民からの視線は決して温かいものではない。今後、リオでも課題となった交通状況の悪化や、治安の懸念などでさらなる不安を呼ぶことは必至だ。
日本勢のメダルラッシュは好材料といえるが、五輪がもたらす影響に詳しい奈良女大の石坂友司准教授は「メダルラッシュがもたらす盛り上がりは一時的。盛り上がるかどうかは、いかに4年間でネガティブな要素を解消できるかに尽きる」と指摘する。リオの教訓をどう東京に生かすか。関係者の手腕が問われることになる。(五輪取材班)=おわり