渡部暁斗が4連勝 故郷で自己最多シーズン5勝 必勝パターンで圧巻V
「ノルディックスキー・W杯複合」(3日、白馬村)
平昌五輪代表で個人総合首位の渡部暁斗(29)=北野建設=が優勝、4連勝で今季5勝目を挙げ、通算14勝とした。1シーズン5勝は自己最多。前半飛躍で130・5メートルを飛んで首位に立ち、2位に16秒差をつけてスタートした後半距離も危なげなく逃げ切った。他の五輪代表勢は山元豪(ダイチ)が自己最高に並ぶ7位に入り、渡部善斗(北野建設)が8位、渡部剛弘(ガリウム)が19位、永井秀昭(岐阜日野自動車)は26位だった。
15年ぶりにW杯を開催した故郷に圧巻Vを届け、歴史に名を刻んだ。欧州の大会で3連勝した直近の試合と同様、前半飛躍で優位に立ち、後半距離で逃げ切る必勝パターン。渡部暁は「勢いをつけて欧州から帰国して、さらに調子の良いところをみなさんに見せられてうれしい」と爽やかな笑みを浮かべた。
実は、会心のジャンプではなかったという。「飛び出した瞬間は失敗したと思った。2位か3位かな」。見上げた電光掲示板の最上位に自分の名前を確認すると、思わず右の拳を握り締めた。「風がころころ変わるのは分かっていた。みなさんの声援が向かい風になって上がってきてくれた」と集まった地元ファンに感謝した。
1998年長野五輪を観戦したのをきっかけに小学4年でジャンプ競技を始めた。あの日の少年は今、日本のエースとして4度目の五輪で金メダルに挑む。その前にラスト1戦。「もう1回勝って、良い気分で平昌五輪に臨みたい」。大一番へ最高の流れで挑むためにも、地元で連勝を止めるわけにはいかない。