葛西金字塔「本当にうれしい」冬季五輪単独最多8度目の偉業達成!旗手も「楽しみ」

 「平昌五輪・スキージャンプ男子ノーマルヒル・予選」(8日、アルペンシア・ジャンプセンター)

 開幕を前に、男子ノーマルヒル予選がアルペンシア・ジャンプセンター(ヒルサイズ109メートル)で行われ、冬季五輪史上単独最多8度目の出場となる葛西紀明(45)=土屋ホーム=は98メートルを飛び、117・7点の20位で予選を通過。これで8大会連続五輪出場が正式に公認された。日本勢は小林潤志郎(26)=雪印メグミルク=の18位が最上位。小林陵侑(21)=土屋ホーム=が21位、伊東大貴(32)=雪印メグミルク=が31位で、4人全員が予選を通過し、10日の本戦に進んだ。

 偉大な記録が懸かる1本のジャンプに、百戦錬磨の“レジェンド”といえども重圧を感じていた。しっかりと飛んで着地さえ決めれば、夏冬合わせて日本史上単独最多、世界でも最多タイとなる8度目の五輪出場が公認される。低い飛び出しから距離を伸ばしきれず、結果は平凡な98メートル。ホッとしたと同時に、あるミスに気付いた。

 「予選通ったんですか、僕?緊張のあまり(スーツのファスナーを首元まで)閉め忘れて。飛び終わって、(小林)陵侑に言われて、“うそ~”って」

 スーツチェックの規定をなんとかクリアし、記録、順位は公認。「風が入って抵抗があったから、5メートルぐらい伸びなかったかな」と安堵(ど)しながら、冗舌に振り返った。

 晴れて8大会連続出場の偉業を達成し「本当にうれしい」と充実感に浸りつつ、「今季始めからずっと8回目の重圧があった。五輪だからという緊張感はなかったけど、“予選通るかな”とか“8回目達成できるかな”とか。そういう重圧があった」と、告白。それでも「これでだいぶ吹っ切れると思う」と、ようやく重い枷(かせ)から解き放たれた。

 9日には日本選手団の旗手として、開会式に出席する。近年では大会前に負担の掛かる開会式は敬遠されがちだが、葛西は前回のソチ五輪では主将として開会式に参加し、個人で銀メダルを獲得した。“レジェンド”の姿に呼応し、今回は多くの選手が出席するという。

 「いや~楽しみ。いつもはみんな出ないんだけど、僕が『ソチの時は楽しかったよ』と言ったら、みんな『出たい』と言ってくれた。色んな選手と会って、パワーを分かち合いたい。旗手として、思い切り旗を振ってきますよ」。どこまでもエネルギッシュな45歳が、極寒の平昌を熱くしていく。

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