葛西、得意のラージで大逆襲だ 強風と寒さで日付またいだ戦いは21位
「平昌五輪・スキージャンプ男子ノーマルヒル・決勝」(10日、アルペンシア・ジャンプセンター)
男子ノーマルヒル(ヒルサイズ=HS109メートル)が行われ、小林陵侑(21)=土屋ホーム=は108メートル、108メートルの240・8点で7位に入賞した。葛西紀明(45)=土屋ホーム=は104・5メートル、99メートルで213・3点の21位、伊東大貴(32)=雪印メグミルク=は103メートル、102メートルの214・7点で20位だった。小林潤志郎(26)=雪印メグミルク=は93メートルで98・8点の31位にとどまり、上位30人による2回目に進めなかった。アンドレアス・ウェリンガー(ドイツ)が優勝した。
気まぐれな平昌の風に乗ることはできなかった。8度目の五輪の初陣となった決して得意ではないノーマルヒル1回目は104・5メートルでまとめ、16位につけた葛西だったが、2回目は低い飛び出しから失速し99メートル。入賞はならず、「テークオフのところで失敗した。緊張で失敗したというより、安定していないことが(結果に)つながっている」と唇をかみ締めた。
前日には開会式に出席。選手団の先頭で力強く国旗を振り、大役をつとめた。ソチ五輪でも主将として開会式に出席し、その後、個人ラージヒルで銀メダルを獲得。「自分にしかできない」と、負担の掛かる役割を率先して引き受け、結果を残す姿に後輩たちも呼応。今回は女子の高梨らも含めジャンプ陣はほぼ全員が参加した。
その存在はもはや日本やスキージャンプ界を飛び越し、世界のスポーツ界の“レジェンド”となりつつある。
冬季競技単独最多となる8度目の五輪。海外メディアがさまざまな数字に着目した。米大手データ会社のブルームバーグは今大会の全競技出場選手2912人のうち、47・8パーセントにあたる1391人が、葛西が初めて出場したアルベールビル五輪で1本目のジャンプを飛んでから生まれた選手たちであることを紹介。USAトゥデイ紙は「彼がジャンプで空中にいた時間は世界を一周回れるだけの時間」と称賛する。
ソチ五輪はノーマルヒルで8位に入賞した後、得意のラージヒルで銀メダルを獲得。団体戦でもエースとして銅メダルへ、けん引した。「徐々に自信を取り戻しつつある。完全に取り戻せれば、ソチのようにポンって飛べると思う」。“レジェンド”はただでは終わらない。ソチを超える大逆襲劇が、ここから始まる。