風に泣いたSS女子・鬼塚「もう少し影響のないように作って」五輪、あまり好きじゃ…
「平昌五輪・スノーボードスロープスタイル女子・決勝」(12日、フェニックス・スノーパーク)
日本選手では藤森由香(31)=アルビレックス新潟=が1回目で記録した63・73点の9位が最高で、メダル獲得はならなかった。他の日本勢では広野あさみ(27)=TJR=が12位、岩渕麗楽(16)=キララクエストク=が14位、鬼塚雅(19)=星野リゾート=が19位に終わった。優勝はソチ五輪金メダルのジェイミー・アンダーソン(米国)で、1本目で83・00点をマークし、五輪連覇を果たした。
平昌の気まぐれな風は、初のメダル獲得を目指したスロープスタイル女子にも過酷な環境を与えた。11日の予選が強風のため中止。全選手が出場し、3回の滑走が2回に減らされる形で実施されたこの日の決勝も、強風のため開始が遅れるなど、難しい条件となった。
競技が始まっても3メートルから4メートルの不安定な強い風が吹き続け、時折積もった雪を巻き上げた。特に影響を受けたのは、ジャンプ。強烈な向かい風を受ければ斜面まで届かず、平面の場所に着地し転倒。追い風を受ければ飛びすぎてしまう。日本のスタッフは各セクションの風の状況を伝えたが、鬼塚が「(風の状況を)教えてくれていたんですけど、追い風って聞いた時に、行ってみたら向かい風になっていたという状況で」と、風に翻弄され続けた。各選手はそれぞれが磨き上げてきた自慢の高難度技を持っていたが、スピードが足りない場面が目立ち、披露できず。岩渕は「公式練習でもいい調子だったし、風がちゃんと味方してくれれば、1番いいルーティンをやるつもりだったんですけど」と、全力を出し切れず、悔しがった。
もちろんスノーボードは自然環境との戦いでもあるスポーツであることは百も承知。それでも鬼塚からは「もう少し風の影響のないように作ってほしかった…」と、本音が漏れた。ソチ五輪の時は年齢制限で選考大会がわずかしかなく、落選。ようやくたどり着いた平昌も、いきなり強風で力を出し切れなかった。「五輪…あんまり好きじゃないな」と、悔しさを押し殺しながら、苦笑いを浮かべた。