暁斗、2大会連続銀 真っ向勝負に悔いなしも「金が欲しい」
「平昌五輪・スキー複合個人ノーマルヒル」(14日、アルペンシア・ジャンプセンター、アルペンシア距離センター)
ソチ五輪銀メダリストの渡部暁斗(29)=北野建設=が2位となり、2大会連続の銀メダルを獲得した。日本の冬季五輪メダルの通算50個目。渡部暁は前半飛躍(ヒルサイズ=HS109メートル)で105・5メートルを飛び3位につけると、首位と28秒差でスタートした後半距離(10キロ)ではソチ五輪金のエリック・フレンツェル(ドイツ)との一騎打ちに持ち込んだが、ラストスパート勝負で屈し“シルバーコレクター”を返上できなかった。悲願の金メダルは、20日のラージヒルに持ち越された。
“キング・オブ・スキー”への道は、やはり簡単ではない。ソチ五輪と同じフレンツェルとの一騎打ち。残り800メートルを切ってからの上りで一気に前に出られ、そのまま突き放された。「確実に走力では差があるので、あの展開だと厳しい。うまく走って体力は残せていたけど、微妙に勝ち切れないですね」。悲願の頂点には、またしても届きそうで届かなかった。
それでも、前回とは違った充実感はある。今季はW杯で4連勝を含む1シーズン自己最多の5勝を挙げて乗り込んできた。快進撃を支えてきたジャンプでは、直前に飛んだW杯上位のノルウェー勢が次々と低調に終わる悪い流れの中で、自身は105・5メートルを飛び、3位につけた。
同い年のライバル、フレンツェルとの距離での一騎打ちも「フェアな戦いができた。お互い同じぐらい(集団を)引っ張り合ったし、他の誰と戦うよりもフレンツェルと戦うのは面白い。彼が勝ってくれてよかった」と、真っ向勝負で敗れただけに悔いはない。「今日は(テレビの)チャンネルを変えられなかったんじゃないかな。これで変えてたらちょっとね」とおどけてみせるほど、手応えのあるレースだった。
まだ五輪は終わりじゃない。あとはほんのわずかな流れ。20日のラージヒルに向けて、「自信はついたか?」と問われると、独特の言い回しで答えた。
「自信は4年前の方がついたんじゃないですか?今は取ったことがあるものを取っただけ。僕が自信をつけるとしたら金メダルを獲った時。次に進むために金メダルが欲しい」
もうシルバーはいらない。ゴールドの輝きだけを求めて、日本のエースはまい進する。