問題競技から一転…スノボが救世主に

 「ソチ五輪・スノーボード男子ハーフパイプ・決勝」(11日、ロザフータル公園)

 平野歩夢(15)=バートン=が決勝2本目で93・50点をたたき出し銀メダルを獲得。平岡卓(18)=フッド=も同2本目で92・25点をマークし、銅メダルを獲得した。日本がスノーボード競技でメダルを獲得するのは初めて。15歳2カ月の平野は冬季五輪の日本勢では史上最年少メダリストとなり、日本に待望の今大会初メダルをもたらした。

 06年トリノ五輪での選手村の壁破損や、4年前のバンクーバー五輪での国母和宏による“腰パン騒動”など、これまで数々の問題を起こしてきたスノーボード競技が、今大会では一転してメダル獲得に苦しむ日本の“救世主”となった。

 バンクーバーでも監督を務めた萩原文和監督(56)は、悲願のメダルに「うちのチームには色んなことがあった中で、今回のこういう結果。泣きました」と、目を赤く腫らしながら喜びに浸った。

 バンクーバーから4年間の取り組みが実を結んだ。選手たちが「スタイル」と表現する独特のファッションや文化が根付くスノボの世界。“公人”として扱われる日本代表としての自覚を植え付けるべく、全日本スキー連盟は改革を行った。

 これまで雪上で行うことが多かった合宿は、各競技の日本代表が使用する国立スポーツ科学センターを利用する頻度を増やした。他競技の選手と接触させることで、社会性を身につけさせた。萩原監督は「これまで『イエ~イ』ってなっちゃうような子たちだったけど、体育会系の感覚になってくれた」と、その効果を口にした。

 また、専属のメンタルコーチとして、北京五輪柔道金メダリストの石井慧らを指導した柘植陽一郎氏を招へい。柘植コーチは、合宿中は個人面談、それ以外でもLINEなどを駆使し、選手たちの意識向上を手伝った。この日、会場で見守った柘植氏は「本当に良かった。彼らが自分らしく滑るというのを実現した」と目を細めた。

 集団生活が多くなったことで、チームの意識も芽生えた。年齢に関係なく、技やメンタル面のアドバイスを送り合った。休憩時間にはお互いの太ももを枕にして、円になってくつろぐ姿もあった。この日も予選落ちした青野や子出藤が声を張り上げ、平野たちを送り出す姿があった。今五輪のチームテーマは『感謝』。真の五輪アスリートとなった日本のスノーボーダーたちが、快挙へ導いた。

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