“オレ竜”更改を他球団はどう見る…?
プロ野球の契約更改が本格化しつつある。そんな中、中日は早々と全選手が更改。まさに信賞必罰という契約が相次いだ。
グラウンドで結果を残せば給料は上がり、残せなければ下がる。プロ野球の世界では、ある意味当たり前のようにも思えるが、実際の交渉は口で言うほど簡単ではない。人情も絡む。保留者続出で大モメのオフとなれば、翌シーズンへも影響しかねない。
それでも中日の落合博満ゼネラルマネジャー(GM)は断行した。今季、チームは4位に低迷。実績のある主力であろうと、新人であろうと関係なく、多くの選手が減俸となった。すべては結果次第。総額で推定8億円超を削減した。
今後、Bクラスに低迷した球団にとっては参考になりそうな契約でもあるが…。各球団の反応はさまざまだ。
あるセ・リーグの関係者は「1年目の選手に25%(減額制限)というのは…。言われた本人は初めてのことで“はい”としか言いようがないだろうし。新人の選手と1億近い選手を同じ尺度(25%)で考えるのはどうなのかなあ」と話す。
現行の制度では年俸1億円超の選手は40%、1億円以下の選手は25%が減額制限となっている。中日のドラフト1位ルーキー・福谷浩司投手(慶大)は1500万円から25%減の1125万円で更改した。
1年目の今季は1軍で9試合に登板。0勝1敗3ホールドの成績だった。大学出だけに即戦力としては物足りない結果だったが、新人は最低でも現状維持か微減とする球団が多い。
主力選手について、他のセ・リーグ関係者は「落合さんが監督として育てた選手たちだから、落合さんから“これだけだ”と言われたらしょうがないと思う面もあるだろうね」と言う。現在の中日の主力の多くは、落合監督のもとで実績を積み上げ、年俸もアップした。“オレ流”についていけば間違いないという信頼関係が築かれた。それだけにGMとなった元監督の言葉には重みがある。
パ・リーグ関係者の一人は「昔と違ってトップクラスの選手は青天井で年俸が増える。だから球団経営が苦しくなる」と指摘する。トップクラスの選手は、活躍した年に億単位でアップすることがあるが、翌年の成績が下がっても1年で億単位の減額となるケースは少ない。その結果、球団経営は圧迫されているというわけだ。そういう意味では、落合流は理にかなっているという。
オリックスの西名弘明球団社長は「落合さんの言う通りだよ。1000万円なら1000万円の、1億円なら1億円の仕事をしてくれないと。プロ野球選手は企業の社長より高い給料をもらっている。それは期待の裏付けだからね。活躍して、チームを勝たせて、大きなお金をつかんでほしい」と話す。
賛否両論、いろいろな意見があるが、ほとんどの球団関係者は「うちではなかなかできない。あれだけのことができるのは落合さんだからこそ」と口をそろえる。現役時代も監督時代も“オレ流”を押し通してきたが、だれにも文句を言わせないだけの圧倒的な結果を残してきた。前代未聞の更改であろうと、説得力は感じさせる。あとは来季、結果につながるかどうか。
もし優勝でも果たせば、これも当然オレ流。少なくとも総額8億円超のアップということになるのだろう。
(デイリースポーツ・岩田卓士)