支度部屋の奥で注目される平幕力士とは
大相撲の三役以上の関取の間で、注目を集める平幕力士は誰か?
ファン目線ならば、幕下付け出しデビューから所要3場所の最速新入幕で話題を集めた“超新星”遠藤(23)=追手風=や、外国出身力士では序ノ口デビューから所要10場所の最速新入幕を決めた大砂嵐(21)=大嶽、エジプト出身=が挙げられるだろう。
ただし、大関や横綱ら三役以上の力士では、遠藤や大砂嵐ももちろん、意外なところでは北太樹(31)=北の湖=が挙がってくる。
本場所の支度部屋には入り口付近と、上位陣が座る奥に2カ所、テレビが設置され、取組映像が流れる。本場所の幕内前半戦の間、三役以上の力士は入念に汗をかき取組の準備を進めている。ところが、北太樹の取組が始まると、体を止めて取組をじっと見る場面を、幾度か目にした。
その時の北太樹の相手は、決まって売り出し中の力士だった。昨年から目にしたのは千代大龍、碧山、遠藤ら。それ以外の相手だと、そんな場面は少なかった。
北太樹の最高位は東前頭2枚目(13年夏)。最近2年間の番付と勝敗を列記すると、以下の通りになる。
▽12年初=東前3、2勝13敗
▽12年春=東前13、9勝6敗
▽12年夏=西前8、5勝10敗
▽12年名=西前11、9勝6敗
▽12年秋=東前9、6勝9敗
▽12年九=東前12、8勝7敗
▽13年初=東前10、8勝7敗
▽13年春=西前6、10勝5敗
▽13年夏=東前2、4勝11敗
▽13年名=西前8、8勝7敗
▽13年秋=東前6、6勝9敗
▽13年九=西前9、8勝7敗
平幕中位以下では分が良く、平幕上位では三役力士にはね返され、新三役に届かないのが北太樹の現状といえる。つまり、横綱、大関陣にしてみれば、北太樹をねじ伏せるようなら自分たちと対戦する地位まで上がってくる、という“警戒レベル”を計るには格好の取組といえる。
さらに北太樹のサイズは身長185センチ、体重145キロ。大きくもなければ、小さくもない。取り口も時折立ち合いで変化を見せるものの、四つに組んでも、押しても勝負ができる。バランスが良く、クセがない点も、レベルを計る材料には適している。
ちなみに、北太樹は前述した碧山、千代大龍、遠藤との初対戦は、すべて白星を挙げている。やはり三役を目指せる力士であるのは間違いない。14年初場所(1月12日初日・両国国技館)は東前頭8枚目で臨む。まだ対戦がない大砂嵐戦が組まれれば、再び支度部屋の奥で注目を集めるのだろう。
(デイリースポーツ・山本鋼平)