真央、ライバルのイメージ戦略に勝て!

 真央ちゃんには、ライバルの“イメージ戦略”に打ち勝ち、金メダルを獲得して欲しい。ソチ冬季五輪で浅田が現役ラストイヤーを五輪金メダリストとなって締めくくれるか?期待に胸躍らせるファンも多いだろう。

 実力では表彰台のど真ん中に立つ最有力候補であることは間違いないが、足元を救われかねない要素があると心配している。浅田は年末の日本選手権でトリプルアクセルの失敗などが響き3位に終わった。一方のライバルのキム・ヨナは1月に行われた韓国選手権で驚異的な数字をたたきだした。1月4日のショートプログラムでは80・60点。翌5日のフリーではダブルアクセルの失敗がありながら、147.26点で合計227.86点という、信じられないような得点を残した。

 「全体的に満足している」とキム・ヨナが振り返ったこの数字は、自身が前回の五輪でたたきだした世界歴代最高の228.56点とほとんど変わらない。 特に、SPはキム・ヨナ自身が前回の五輪でマークした78.50点の世界歴代最高得点をも上回っている。浅田のキャリアハイはSPでは2009年4月の世界フィギュアスケート国別対抗戦で残した75.84点、フリーでは2006年12月に行われた全日本フィギュアスケート選手権の140.62点である。

 数字だけに絞れば浅田のスコアがキム・ヨナのそれに届いたことは一度もがないということになる。今回のキム・ヨナの数字は国内大会ということで、ISU(国際スケート連盟)の公認記録にはならず、本来は比較対象にはならない。

 だが、五輪の採点に微妙な影を落とす。キム・ヨナは右足甲の故障でグランプリ(GP)シリーズを欠場し、GPフアイナルとほぼ同時期の昨年12月、クロアチアで行われた「ゴールデンスピン」に出場。ショートプログラムは今季世界最高となる73・37点をマークし、フリーでも131・12点の高得点をたたき出し優勝した。合計204.49点はGPフアイナルで優勝した浅田の204.02点を上回る。

 大会のランクを考えれば単純に比較はできないが、キム・ヨナの直近2試合の数字をみればソチ五輪に向けて完全に仕上がってきている印象を受ける。“イメージ戦略”は成功といえ、ソチのジャッジ団に強烈なインパクトを与えたことは間違いない。ここが問題なのである。

 “サブミナル効果”という言葉がある。これは潜在意識に刺激を与えることで表れるとされる効果のことで、本人に自覚させないで、特定の行動を起こしたくなるように相手の潜在意識に刷り込むことをいう。いわば暗示に一種で、テレビCMなどでは禁止されている。ソチ五輪のジャッジが、この“サブミナル効果”というマジックにはまる危険性は十分にある。

 フィギユアスケート競技のジャッジはレフェリー1名、テクニカル・コントローラー、テクニカル・スペシャリスト1名、そしてアシスタント・スペシャリスト(1名に加え、データ&リプレイオペレーター、採点ジャッジで構成されている。すでに採点に参加する13カ国が選出されており、大会前に抽選を行い9名が第1セグメント(SP)を担当。外れた4名はFS担当に回る。さらにSPを担当した9人から再抽選が行われ、選出された5名がフリーを担当することになっている。この13カ国に入っていれば、SP、フリーの双方か、いずれかのジャッジを担当できる。双方から外れることはない。女子フィギュアに関しては、日本、韓国ともに13カ国に名前を連ねており浅田とキム・ヨナの条件には差はないのかもしれない。

 バンクーバー五輪では浅田とキム・ヨナの得点差が23.06点とあまりに開いたが、異議は申し立てられない。ISUのルール123条4項で、通常「抗議の制限」と呼ばれるものがある。フィギュアで抗議が認められるのは「数値計算上の誤り」、いわば足し算などの計算ミスのみで、「要素の認定や技のレベル認定の誤り」は人為的ミスであって「数値計算上の誤り」ではないためで、選手やコーチが疑問を呈する道がない。 現状では指をくわえているしかない。

 なにも特定の国や選手に関してあげつらう気はない。ただ、同じ条件でしのぎを削るからこそのスポーツ競技ではないのか。リンクの外の戦いではなく、リンク内での勝負がみたい。その上で、浅田のいう「笑顔で終われるようにしたい」と結果になれば最高だ。注目の女子フィギュアは19日から始まる。

(デイリースポーツ・今野良彦)

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