日本ハム大谷“二刀流”完成へのカギは

 日本ハムの大谷翔平投手が二刀流2年目を迎えた。今季の起用について、二刀流継続が決定している中、周囲からさまざまな意見が聞こえてくる。投手に専念すべき、野手に専念すべき、両方こなすのは無理なのでは、などなど。賛成、反対、意見は二分されている。

 「あれだけのボールを投げるし、野手としての能力もかなり高い。(どちらかにするのは)もったいない話」と球団幹部は言う。2年目の二刀流はどう進んでいくのか。キャンプを見て、黙々と練習を積んできた投手としての活躍が期待できるのではと感じた。

 今季の起用法について栗山監督は投手中心の二刀流像を描き、まずはローテ投手として回す意向を持っている。先発陣がやや手薄な事情も絡む。平均的に150キロ前後の直球を投じる投手は日本ハム先発陣でそうはいない。優勝を目指す上で能力の高い大谷が先発で独り立ちすることを求めている。だから今年は投手に力点が置かれるのも、投手の能力を伸ばす上で都合がよかったようだ。

 投手としてレベルアップするために、野手練習に多くの時間を割かれることもなく、十分に投手のトレーニングを積んできた。キャンプ初日からブルペン入りし、ほかの投手陣と同じ数の投げ込みをこなしてきた。栗山監督が「野手(として)は心配していない」と言うように、能力の高い打者の練習メニューをこなすより、投手としての荒削りな部分をいかに修正するかが課題に置かれてきた。

 前例のない二刀流を手探りで練習してきた1年目とは違う。二刀流ルーティンは確立されつつある。キャンプ初日からシーズン起用に沿っての練習メニューを組んできた。1年目の時のように何をするべきか戸惑うことも少ないように思う。

 中6日ローテで回りながら、間に野手をこなすための練習メニューが組まれてきた。シーズン中の登板間隔のうち、3、4、5日目が野手での起用プラン。今年は投打とも段取りよく練習をこなすことができているせいか、本人も「徐々に分かってきたし、やろうとしていることができていると思います」と手応えを明かすのも心強い。

 1年目の経験も大きく生きてきそうだ。成績は投手で13試合に登板し3勝0敗、防御率4・23。打者としては77試合に出場し打率・238、3本塁打。超高校級と言われた他選手の高卒1年目と比較してみると投手では松坂の16勝、田中が11勝と大谷を上回る成績を残した選手もいるが、ダルビッシュは5勝だった。

 野手でも清原の打率・304、31本塁打は突出しているが、松井は55試合で打率・223、11本塁打、イチローは40試合で打率・253、0本塁打。スーパースターと比較してもそれほどそん色ない。投打のどちらとも規定を下回る出場機会で高校出のルーキーとしてはどちらとも合格点の成績を残した。能力の高さを証明した。

 今季の優勝を命題に置いている栗山監督。投打で力になれる素質の持ち主だからこそ両方、使いたい考えがあるが、まずは先発として中6日で回り続けることができるか。ローテの合間の野手出場では類いまれな打撃センスでそこそこの数字は残しそう。将来の二刀流完成につなげるため、投手の力を発揮できるかがカギを握りそうだ。

(デイリースポーツ・水足丈夫)

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