今季優勝は?オープン戦の科学的分析法
2014年3月4日
そんなオープン戦を一つ、冷静に見ようじゃないかということで、デイリースポーツでは約20年前、慶応大学の教授の協力を得て「オープン戦を科学する」的な企画を紙面化したことがある。
デイリーは教授の求めに応じて、過去のオープン戦、公式戦のデータを提供、教授はそれを統計学だかなんだかの手法で分析して、「オープン戦と公式戦との関係」についての結論を出してくれた。
いま、その紙面は手元にはないが、要点は思い出すことができる。
まず、オープン戦での個人成績は、投手の場合、ある程度の相関性はあるものの、打者については信用できない。
教授の分析によると、打者の調子は1カ月単位で上がり下がりするようで、つまりはオープン戦でガンガン打つバッターは開幕のころ、調子が下降線に向かっている。
取り分け新来の外国人打者については、教授の分析を待つまでもなく、オープン戦での成績が参考にならないことを我々は経験上知っていた。
好きなコース、球種を見定めるために、相手投手は打たれるのを承知でいろんなコース、球種に投げ分けるからだ。ネット裏ではスコアラーがビデオを回しながら、目を凝らしている。
そして、打たせてもらっていることを知らない助っ人たちが、日本のプロ野球を甘くみて、開幕するとたちまち頭を抱える例をたくさん見てきた。
次にチーム成績のオープン戦と公式戦の関係だが、結論から言えば、最後の1週間の結果が公式戦を占うカギとなる。
というのも、オープン戦の前半と後半では、打者の調整度と、投げる投手の顔ぶれ、イニング数が違うからだ。
打者、特にレギュラーを約束されているような主力打者は開幕に合わせて調整するので、最初の段階では結果にこだわらない。
また主力投手は先発して5回以上投げるようになるのが後半に入ってからで、最後の登板では7回投げるケースが多い。先発投手が7回投げると、その内容は試合の勝敗に直結する。
そんなわけで、最後の1週間は選手の総合力、つまりチーム力が試合結果に反映されることになる。
紙面でこの企画を実施して以来、私は「その目」で毎年の結果を検証してきた。そして、かなり信頼度の高い企画であったことに自信を持っている。
これを知ったプロ野球ファンの皆さん、だからといって真剣には考えず、せめてオープン戦の間くらいはひいきチームの「優勝」を信じようではないですか。
(デイリースポーツ・岡本清)