オンリーの危険性 メッセージにご用心
「Japanese Only(ジャパニーズ オンリー)」。この言葉は「日本人しかいません」、という意味には、通常は受け取られない。
現代以上に人種差別が表だっていて、激しかった1960年代以前のアメリカでは、店や公共施設で「ホワイト オンリー」というサインが掲げられていた。意味は「白人以外お断り」。人種差別以外の何ものでもない発言である。
3月8日のJ1浦和‐鳥栖戦で、埼玉スタジアムの浦和ゴール裏サポーター席コンコースに「Japanese Only」と書かれた横断幕が掲げられ、物議を醸している。「日本人以外お断り」という外国人排斥的な意味に受け取られかねないため、クラブは掲出者や掲出の経緯の調査を進めている。
ピッチにではなくスタジアム構内に向けられていたため、掲出の意図はくみ取りづらい。浦和はブラジル出身のマルシオリシャルデスが負傷離脱中。日本人選手だけで戦っている状況を表現した可能性はある。この状況を受け、外国人獲得をクラブに要求したともとらえられる。
だが、「○○オンリー」という言葉の排他性は強い。日本語的な感覚にはない意味合いがあることは、冒頭のアメリカの例に挙げた通りで、サッカーの試合にふさわしい用法ではない。
浦和の広報担当者は「とにかく再発防止が第一」としている。今回は英語を直感的に理解できない面があったが、スタッフの意識改革で対応するという。
今回の出来事について、DF槙野はツイッター上で「今日の試合負けた以上にもっと残念な事があった…。浦和という看板を背負い、袖を通して一生懸命闘い、誇りをもってこのチームで闘う選手に対してこれはない」と発言して、注目を集めている。選手に向けてのものかどうかは未確定だが、少なくとも選手の心を傷つけたことは間違いない。
今回のメッセージの真意は不明だが、理解や認識の不足から大きな問題に発展する可能性があることは学ばなければならない。オンリーを使うとすれば、「フェアプレー オンリー」で。
(デイリースポーツ・広川 継)