プロ野球新人研修開催はなぜ3月なのか

 3月3日、プロ野球の新人研修会が都内ホテルで行われた。毎年、注目の新人の話題が取り沙汰されているが、楽天・星野仙一監督が、この“恒例行事”の開催時期に疑問を投げ掛けた。

 「キャンプイン前の1月にやるとか、キャンプ中、沖縄や宮崎でやるとか、いくらでもできる。新人は1年目、活躍しないからいいだろう、とか思われてるんじゃないの?」

 ドラフト1位の松井裕樹投手(桐光学園)が、高校の卒業式や研修を含めて3日間もチームを離れることになり、調整が遅れることを懸念したようだ。

 04年にも中日・落合監督(当時)が、同意見を球界にぶつけている。「なんでそんな時期にやるんだ。オープン戦も始まってるというのに。チームにとってもマイナス。コミッショナーはもっと考えてもらわないといかん」。

 わずかな歯車のずれが、選手個人だけでなくチーム作りやシーズンにも影響する可能性がある。現場を預かる立場として、疑問を投げ掛けたくなるのも無理はないだろう。

 ただ、開催時期はコミッショナーや日本野球機構(NPB)の独断ではなく、12球団の代表者が出席する実行委員会で決められたもの。関係者によると渡航費など経費の問題も含め、新人選手の卒業式に合わせる形で現状に至ったという。

 以前は12月に行われたこともあったが、今は選手会との申し合わせ事項で12月や1月のオフシーズンは選手を拘束できない事情もある。キャンプ中の2月開催が検討されたこともあったが、各チームのスケジュールの問題や「卒業式が終わった後のほうがいいのではないか」などの意見もあるという。

 研修会では暴力団対策やドーピング問題などの講義が、約5時間にも及んで行われる。今年はマスコミ対応の講義で、楽天・松井裕が早口の癖を指摘された。その後、チームに戻ってからのインタビューでは、松井裕が早口になっていないよう意識する姿が見られるなど、研修会の効果はあったようだ。

 夢を売る商売であり、何より社会人として研修会はおろそかにはできない。だが、わずか1日や2日とはいえ、ファンが期待する最高レベルの戦いに影響があるとすれば、無視もできない問題。現場の声が“宙ぶらりん”になることも多い野球界だが、各球団や選手会も含めて、もう一度、議論する必要がありそうだ。

(デイリースポーツ・佐藤啓)

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