出るか9秒台!高速決着必至の織田記念
歴史的瞬間は訪れるか‐。4月29日に行われる織田記念陸上(エディオンスタジアム広島)の男子100メートル。桐生祥秀(18)=東洋大=、山県亮太(21)ら日本のトップスプリンターが、日本人初の9秒台を目指し、出場する。記憶に新しい昨年大会では、当時高校3年生だった桐生が、予選で日本歴代2位となる10秒01をたたき出し、近い将来の9秒台突入を予感させた。あれから1年‐。悲願達成の期待は高まるばかりだ。
というのも織田記念が行われるエディオンスタジアム広島(広島ビッグアーチ)は、過去5年で6度の10秒0台(追い風参考も含む)がマークされるなど、日本でもナンバー1と言っていい高速トラック。硬く、反発力の強いレーンに加え、毎年絶好の追い風が吹くことで有名だ。
13年織田記念陸上
桐生祥秀
予選 10秒01(追い風0・9メートル)
決勝 ※10秒03(追い風2・7メートル)
山県亮太
決勝 ※10秒04(追い風2・7メートル)
12年織田記念陸上
山県亮太
予選 10秒08(追い風0・8メートル)
09年日本選手権
江里口匡史
準決勝 10秒07(追い風1・9メートル)
塚原直貴
予選 10秒09(追い風1・8メートル)
※は追い風参考記録
日本一を決める日本選手権では09年を除き過去10年で10秒0台を出した選手が1人もいないことを考えれば、5年で6度という数字がいかに突出しているかが分かる。さらに女子でも福島千里が08年に日本タイ記録となる11秒36(追い風1・7メートル)、10年には日本新を更新する11秒21(追い風1・7メートル)をマークしている。
9秒台最有力候補の桐生は、20日の出雲陸上で今季の100メートル初戦に臨み、10秒26で優勝。上々のスタートを切った。昨年からの成長には手応えを感じており「織田では自己ベストを出したい」と、絶好のチャンスとなる織田記念に向けて闘志を燃やした。
98年バンコクアジア大会で伊東浩司が10秒00をマークして以来、16年間日本陸上界に立ちはだかってきた難攻不落な残り0秒01の“壁”。いよいよ打ち破られる時がくるかもしれない。
(デイリースポーツ・大上謙吾)