台湾球界に挑戦した元タテジマ戦士たち
タテジマを経験した4選手が海を渡り、今季から台湾球界(CPBL)に挑戦している。
中信兄弟には、2003年から10年間在籍した林威助外野手、2009年から4年間在籍し、昨年はDeNAでプレーした鄭凱文投手。義大には2008年のドラフト1位、蕭一傑投手。ラミゴには2007年から2年間在籍した正田樹投手が加わった。
そして統一には元阪神コーチの立石充男氏が、野手総合コーチとして在籍している。立石コーチに彼らの現状を聞いた。
林威助は23日現在で22試合に出場。打率・205、1本塁打、9打点と不振に苦しんでいる。
「林威助は契約が遅れたからキャンプを満足にできなかった。左膝を痛めていることもあって、指名打者や代打での出場が続いている。無理して出ている格好やな。体ができてくれば、打てるようになると思う」
阪神でも2007年には15本塁打を放つなどレギュラーをつかみかけたが、故障に泣かされた。母国でも故障に苦しんでいる。
4人の中でもっとも活躍が目立つのが鄭凱文だ。4試合に先発し1勝0敗ながら防御率は0・87。チームは最下位。勝利投手の権利を持って降板しながらリリーフが打ち込まれ白星を逃すケースが何度かあったが、内容は抜群のようだ。
「肘の位置を少し上げて、ボールが走るようになってる。シンカーを捨ててストレート、スライダーで勝負しているのも好結果につながっている。アイツが一番活躍しているな」
蕭一傑は中継ぎでフル回転している。チーム23試合中12試合に登板して2勝2敗、防御率7・63の成績。監督の信頼が厚く七回ごろのピンチに連日登板していた。
「序盤の12試合中8試合に登板していた。あまりにも投げさせ過ぎるから段々、スピードが落ちてきて打たれるケースが多くなった。さすがにやりすぎで、外国人の投手コーチはクビになってたな」
最後は4年ぶりに台湾球界に復帰した正田。こちらは先発として5試合に登板し1勝2敗、防御率4・61。
「毎週日曜日に先発している。球団は食事も作ってくれるし楽です、と話していたけど…。この間の登板でいい投球を見せたから良かったものの、危なかった」
自身も15年ぶりに台湾球界に復帰となった立石氏。そのレベルを聞くと「リーグは4チームしかないから投手のレベルは高い。アジアシリーズでも打ったように台湾の打者はよく打つ。ただ、じゃあNPBでプレーできるかと言えば打者は難しいかも知れない。投手の方がチャンスはあるかもしれんな」と言う。
昨年11月の秋季練習から守備、走塁を中心に指導している。台湾の選手の特徴は力任せの送球。そのためミスも目立ったという。統一ではスナップスローから教えることで、ようやく形が出来てきたという。その証拠に肩、肘の故障を訴える者が出なくなった。他チームでは、細かなプレーはまだまだつたないという。
発展途上の台湾野球。そこで奮闘する元タテジマ戦士たち。果たしてNPB復帰はあるのか。今後も追っていきたい。
(デイリースポーツ・達野淳司)