広島、オリが失速しそうにない理由とは
プロ野球が3月28日に開幕して、1カ月が経過した。セ・リーグは広島、パ・リーグはオリックスが首位で4月を終えた。
上位を走るチームは、このまま優勝までたどり着けるのか。野球は投手力が勝敗の8割を支配するとも言われるスポーツ。その中でも特に先発の働きは重要視される。
05年に監督として阪神をリーグ優勝に導いた岡田彰布氏は、1年間を戦う上で、先発の陣容を考える際に「先発は勝ち星よりも、どれだけのイニングを投げられるかを計算する」と話している。そこで「イニング」にスポットを当てて今後を分析したい。
1試合は基本的に9イニング。延長戦や降雨コールドゲームなどもあるが、1試合あたり9イニングで計算すると、144試合制ならば、全投手で計1296イニングを投げることになる。
では、優勝したチームは、先発投手がどれくらいのイニングを投げていたのだろうか。過去5年、セパ両リーグで優勝した10球団の成績を振り返ると、各球団の先発投手が投げた総イニングの平均は882。1シーズンで戦った全イニングの68%を先発投手でまかなった。
まだ4月が終わったばかりだが、このデータを基に、4月終了時点で各チームの先発投手の成績を見てみると、数字が成績に表れていた。
これまでの総イニングのうち、先発投手が68%以上のイニングを投げている球団はセ・リーグは広島、巨人。パ・リーグはオリックス、ソフトバンク、ロッテ、西武。6チーム中5チームがAクラスに入っている。
セ・リーグ2位で4月を終えた阪神も、総イニングの66%を先発投手でまかなっている。開幕後の3カード9試合では先発が総イニングの55%しか投げられておらず、借金生活だった。
だが、10試合目以降は先発陣が総イニングの72%を投げるほど安定。好調な打線に注目が集まっているが、先発投手も4月中旬以降の快進撃の要因だと言える。
では、先発ローテ投手が6人そろっていた場合、1シーズンで1人あたりの目安はどれくらいのイニングになるのだろうか。
先ほど挙げた、過去5年でセパ両リーグの優勝10球団の先発投手が投げた総イニングの平均は882イニング。6人で割ると、1人あたり147イニングとなる。
1シーズン活躍できない選手や、ケガもある。各球団は数人の柱となる投手を中心に、数名の投手で先発ローテを回している。ただ、過去5年でリーグ制覇した10球団には必ず、この147イニングを超えた投手が1人はいた。
13年の楽天・田中(現ヤンキース)のように211イニングを投げ、楽天の先発投手が投げた総イニング848回2/3の約4分の1を1人で投げた投手もいる。残りの637回2/3を14人で投げており、200イニング前後を投げる投手の存在がチームにとっていかに大きいかが分かる。
多くのイニングを投げる投手がいるほど、実力が劣る投手への依存度が減り、中継ぎへの負担も減る。4月終了時点で広島はバリントン、オリックスは金子、西が200イニングを超えるペースで投げている。まだ100試合以上が残っており、アクシデントなどで情勢が変わるかもしれないが、今季の広島、オリックスは簡単には失速しなさそうだ。
(デイリースポーツ・西岡誠)
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