セペダの使命は日本野球の伝道
キューバの主砲がベールを脱いだ。WBCや五輪など多くの国際舞台で同代表の中軸を担ってきたセペダが15日のヤクルト戦で、いきなり巨人の第80代となる4番に座った。シーズン途中加入の外国人選手がデビュー戦で4番を務めるのは球団史上初めてとなった。
結果は3打数1安打1打点。12日の来日から4日。「プレーには影響はなかった」とは言うものの「時差ぼけがまだ完全に取れていなくて、体が重い」という中で上々のデビューとなった。原監督も「非常に雰囲気がある。結果も出たし、いいデビューだったと思います」と目を細めた。
「日本野球の質の高いピッチャーや、走塁技術を中に入って見られる、というのは大きい」と話すセペダにとって最高の指南役の存在も大きい。同じキューバ代表でプレーした2歳年下のアンダーソンは打率リーグ首位を走るなど、日本野球に適応。くしくもそのアンダーソンの“代役”として登録されたが、すでに“後輩”から順応法のレクチャーも受けている。
異国の地に溶け込もうという思いが現れたシーンもあった。試合開始直前、ボールをスタンドに投げ入れながら守備位置につく際、最後の1球は三塁側のエキサイトシートに歩み寄り、グローブを手にしたファンに直接ボールを渡した。入団会見で「日本の方に対するもてなしの心に対して非常に尊敬の思いを持っています」と話していたが、自らも“おもてなし”の精神を体現した。
デビュー戦後、体のケアを入念に施し、球場を後にしたのは試合終了から約2時間後。こんなところにも成功への強い思いがうかがえる。追い求めるのは自らの成績だけではない。「自分の後に続く若い選手たちには準備の大切さをアドバイスしたい」。キューバの海外移籍容認第1号として日本野球の“伝道師”としての使命感もある。
デビュー2戦目は4打数無安打に終わり、チームも5連敗を喫した。優勝候補の大本命とされながらもいまいち波に乗り切れない原巨人。いやがうえでも注目が集まるキューバの主砲のバットが、今後の浮沈のカギを握ることになりそうだ。
(デイリースポーツ・野畑圭司)