阪神メッセが聖地で強い理由とは
阪神のランディ・メッセンジャー投手が、本拠地甲子園で抜群の強さを見せている。
17日のDeNA戦では9回を散発3安打無失点に抑え、完封で4勝目を挙げた。甲子園では4月29日・広島戦、5月11日・巨人戦に続く3試合連続完封だ。
阪神投手の甲子園3試合連続完封は、村山実が1962、66年に記録。バッキーが65年に記録している。メッセンジャーは48年ぶり3人目(4度目)、球団外国人投手では49年ぶり2人目の記録達成となった。
試合後、ヒーローインタビューを受けたメッセンジャー。甲子園での強さについて問われると「コウシエンキュウジョウ、イチバン!」と日本語で答え、ファンを沸かせた。
その後、担当記者による囲み取材でも同じ質問が出た。メッセンジャーは「なぜだか分からない。分かっていたら他の球場でも同じように投げたいよ」とコメントした。
本人にも分からないミステリアス!?な理由に迫ってみた。元来、投手は慣れた本拠地球場のマウンドのほうが投げやすいものだ。自宅から通えることで生活リズムも安定する…というのは、あまりにも当たり前すぎる理由だろう。
今季のメッセンジャーは甲子園4試合で4勝0敗、防御率0・26。ビジター5試合では0勝4敗、防御率5・79だ。いくら投げやすいからとはいえ、当たり前の理由だけでは説明できないほどの成績差がある。
元阪神投手の中田良弘氏(デイリースポーツ評論家)は「登板する球場の巡り合わせが関係しているのでは」と推測する。今季は3月29日の東京ドームで初登板して以降、神宮、甲子園、マツダ、ナゴヤドーム、甲子園、神宮、甲子園、甲子園の順番で登板しているが…。
「甲子園で好投したり完封した次の登板はビジター。ビジターで打たれた後は甲子園という流れで登板している。甲子園で好投することで、無意識のうちにホッとした状態でビジター登板に臨んでいるのかも。そしてビジターで打たれ、もともと投げやすい甲子園で気合十分に登板する。そんなリズムが生まれている可能性はある」
登板順を正確に見れば、甲子園とビジターがきっちり交互になっているわけではない。しかし大きな流れとしては、それに近い。その流れに乗っているうちに、甲子園登板に対する自身の安心感はより大きくなり、ビジター登板との差をより意識してしまっても不思議ではない。「コウシエンキュウジョウ、イチバン!」は、ファンを沸かせるためのリップサービスだけでもなさそうだ。
「今季、ビジターでは結果が出ていないけど、調子はずっといい。球威があるから変化球も生きてくる。もともと勝てるだけの要素はある。その上で、たまたま甲子園で勝つ登板リズムになっているだけじゃないかな」と中田氏。次回登板はヤフオクドームでのソフトバンク戦が予想される。ビジターだ。ここで好投すれば、不思議なリズムに変化があるかもしれない。
(デイリースポーツ・岩田卓士)