交流戦快進撃のロッテは勢いだけか
交流戦首位をキープしている伊東ロッテ。20日のヤクルト戦から開幕5連勝でスタートし、これは交流戦V率100%というデータのお墨付き。過去9年間で、05、06年と2度の同優勝を経験し、上位6位以内は計6度。交流戦はもはや“お家芸”と言ってもいい。
伊東監督は同開幕日の20日、「ペナントレースのことは忘れて、交流戦で優勝しよう」と熱烈なゲキで選手たちを鼓舞した。今季レギュラーシーズンでは開幕から苦戦を強いられていたが、得意の舞台だけに、この24試合を巻き返しへの格好の期間と捉えている。
その指揮官の狙いどおり、変わり身を遂げたかのような戦いぶりで、快進撃を続けている。20日のヤクルト戦では、1点ビハインドの九回2死から、井口が起死回生の同点弾を放つと、2年目・加藤のサヨナラ3ランで劇的に幕を開けた。
ベテランの復調と若い力の台頭。対戦相手が変わったことがきっかけとなり、歯車がかみ合いだした。伊東監督は、「新鮮な気持ちで戦うことができている」とその変化を認めている。
ロッテといえば、交流戦のみならず、05年の日本シリーズ4タテや、10年の史上初の3位からの下克上Vが記憶に新しい。波に乗ると、並外れた集中力を発揮するのが伝統的なチームカラー。交流戦に入り、逆転勝ちが8試合中4試合と粘りも生まれ、その勢いを表している。
だが、その中で、勢いだけではない、大胆かつ緻密な投手起用の妙もあった。先発ローテを入れ替え、ドラフト1位・石川(東京ガス)を中5日で24日の巨人戦に、藤岡を中7日で25日の阪神戦に起用。
これには首脳陣の様々な思惑があった。まずは、この組み替えにより、先発投手を左腕‐右腕の順に交互に並べられるメリットだったが、それだけではなかった。
石川は、昨秋ドラフトで、巨人と競合の末に引き当てたドラ1右腕。4月に3勝を挙げながら、5月に入り疲れが見え勝ち星がストップしていたが、そんなルーキーを、“因縁”の巨人戦に、あえてぶつけたのだった。
中6日で順番どおりのローテならば甲子園での阪神戦だった。だが、虎党のすさまじい応援に包まれる、ただならぬアウエー感の甲子園のマウンドは、復活を期す新人右腕にとって荷が重い。ならばG斬りで自信を取り戻して欲しいと考え、聖地での登板は、甲子園での過去2試合で、計9回を1失点に抑えていた“虎キラー”の藤岡に託した。
当初、疲労の色が濃かったルーキーにプロ初の中5日起用することに不安視する声もあったが、石川は期待に応え巨人打線を翻弄。藤岡も狙いどおり虎斬りに成功した。熟考した結果の思い切った“GT倒ローテ”が見事にはまり、好調なチームを後押しすることになった。
31日からはDeNA戦(QVC)。まだ交流戦折り返し地点には達していないが、このまま突っ走れるか。過去上位6位以内だった年は、レギュラーシーズンで5度Aクラス入りを果たしているが、交流戦巧者のロッテに、注目だ。
(デイリースポーツ・福岡香奈)
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