鳥谷の代役不在?もし何か起きたら…

 現在、交流戦を奮闘中の阪神。4日・楽天戦を終えて56試合30勝26敗、セ・リーグ3位の成績だ。ケガ人を抱えながらも、ほかの選手がカバーしながらAクラスを維持している。だが、今の阪神を見ていると、頭の中にひとつの疑問が生まれてくる。

 「もし、鳥谷にアクシデントが起こったとき、代わりに遊撃を守る選手は…」

 阪神の遊撃といえば、いまや不動のポジションだ。2年連続フルイニング出場を果たすなど、10年近くそのポジションを守り続けている。まもなく33歳を迎えるが、強じんな肉体と精神力に衰えはないといってもいいだろう。とはいえ、試合に出続けている以上、何が起こるか分からない。

 阪神は開幕3試合目に、二塁・西岡が想定外のアクシデントに見舞われた。絶対的なリードオフマンの穴は、選手会長の上本が必死に埋めている。藤井、鶴岡のベテラン捕手も離脱中。清水、梅野がスタメンマスクをかぶり投手陣を支えている。そのほかのポジションを見渡しても、レギュラー選手の代役候補の名前は挙げることができる。その中で唯一、鳥谷に次ぐ名前だけが出てこないのだ。

 全試合出場を果たし、中軸を担う。鳥谷レベルの選手を探すことは、他球団を見渡しても容易ではない。ところが、ある球界関係者は「今の1、2軍の中で鳥谷の後継者となる選手は、現時点では誰もいないと言っていい」と話す。ハイレベルではないにしても、1軍の遊撃を任せられる選手と考えた上で、候補者が浮かんでこないのが現状だという。

 現在、1軍に遊撃経験者は上本、坂、荒木の3人。前述の関係者は「みんなどちらかといえば二塁タイプ。遊撃となると疑問がつく」と分析する。では、2軍に目をやると遊撃を守るのは2年目の北條を筆頭に、3年目・西田、1年目・陽川、4年目の育成・阪口と20代前半の選手ばかり。鳥谷とは10歳ほど離れている。その間に経験ある遊撃手が存在しないのだ。

 北條、西田らは長期的ビジョンの遊撃候補といえる。2軍公式戦でしっかり経験を積み、いずれは内野の要になってもらいたい選手だろう。だが、鳥谷に万が一が起きた場合、すぐに代わりが務まるかと言われれば、経験の浅い若手には難しいと言わざるを得ない。

 すでに鉄人の域に達している鳥谷。このままなら、数年先も不動のままであり続けてくれるだろう。しかし、西岡のようなアクシデントは、いつ、誰の身に起こるか分からない。西岡の負傷を、ただの「想定外」として片付けてしまってはあまりにもさみしい。我が身に起こったことを、教訓にしていかなければならない。遊撃を含めたあらゆるポジションの不測の事態を考え、危機管理の徹底が、今の阪神に求められるのではないだろうか。

(デイリースポーツ・西岡竜一)

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