“女子力”も高いボクシング世界王者
“ゆうこりん”の愛称で国内屈指の美女ボクサー・黒木優子(23)=YuKOフィットネス=が、女子ボクシング界に新たな道を切り開いた。
5月17日、大阪・アゼリア大正で行われたWBC女子世界ミニフライ級王座戦で王者・安藤麻里(26)=フュチュール=と対戦。3‐0の判定で勝利し2度目の挑戦で初の世界王座を獲得した。
接近戦に持ち込みたい安藤に対し、的確に左ストレートのカウンターを放ち出足を止めた。10ラウンド、終始、作戦取りに屈指のファイターを攻略した。
昨年、九州初の女子プロボクサー・古賀友子会長(35)が博多駅前に設立した同ジムに移籍。「間違いなく初めてでしょうね」と会長が言うように女子師弟コンビでの歴史的な戴冠劇となった。
08年にJBC(日本ボクシングコミッション)が女子ボクシングを公認してから今年で7年。18人の女子世界王者が誕生しているがジム会長や指導者は男性が当たり前の世界だった。その“男社会”に風穴を開けたのだ。
「第2のお母さん。優しい会長です」と黒木は言う。女性同士だからこそ、リングを降りれば師弟というより姉妹に近い。
試合前夜は寝られずに会長の部屋に行き携帯ゲームをし続けた。試合後、今後に関し聞かれた会長が言葉に詰まると「何も考えてないでしょ?絶対に考えてない」と突っ込み。会長は隣で「ははは」と照れ笑い。男の師弟では考えられない友達感覚の会話だった。
23歳、おしゃれにもこだわるのが優子の流儀。試合前日の調印式には黒のキャミソールにバッチリとメークもして登場。試合当日もスカートにハイヒールで会場入りした。
これまで女子ボクサーと言えば普段からジャージー姿が多数。モデルボクサーの高野人母美(協栄)ら、一部のビジュアル系を除けば、“かっこいい女”のイメージが強かったが、黒木は違う。
「みんな化粧して、おしゃれしたらかわいいと思うのに。私は普段からボクサー、ボクサーしてるのはイヤなんです。リング上とのギャップが大事」。趣味はお菓子、ケーキ作り。バレンタインデーには生チョコレートをジムで配った。
ゴルフの宮里藍、横峯さくら、卓球の福原愛、マラソンの高橋尚子、テニスのクルム伊達公子…。強さと“華”を併せ持つ存在の出現が転機となり、男子以上の注目をもたらした例は多い。
美しく“女子力”も高い世界王者。今後、女子ボクシング人気の向上へ黒木の果たす役割は大きい。
(デイリースポーツ・荒木 司)