球界でさらに高まった中継ぎの価値
セ、パ両リーグが9日、個人記録をたたえる連盟表彰に「通算200ホールド」(200ホールド以後は、50ホールドごとに表彰)を新たに加えることを決定した。6日の西武戦で巨人・山口がプロ野球史上初の200ホールドの大台に到達しており、第1号として表彰される。
これまで連盟表彰には先発(100勝投手、以後50勝増加ごと)と抑え(100セーブ、以後50セーブ増加ごと)の項目はあったが、中継ぎに関するものはなかった。ホールドは05年から導入されたが、山口が節目の記録を達成したことで、日本球界で中継ぎの価値がさらに高まったと言える。
ホールドは勝敗、セーブの記録を得なかった救援投手が対象。「3点以内のリード時に1イニング以上投げる」「同点で登板し、1死以上のアウトを奪って、無失点のまま降板する」など、状況に応じた複数の条件で記録される。
中継ぎのやりがいについて、山口は「ピンチを抑えれば、流れが来て味方が点を取ることもある。試合の流れを左右できるポジション」と話す。投手の分業制が確立した現代野球では、試合終盤の緊迫した場面で登板する中継ぎのできが、チームの勝敗に直結する場合も多い。
実際、今季セ・パのホールドポイント数トップ3(6月13日現在)を見ると、セは1位・福谷(中日)、2位・山口(巨人)、3位・一岡(広島)、中田(広島)、福原(阪神)、安藤(阪神)。パは1位・佐藤達(オリックス)、2位・岡島(ソフトバンク)、3位・宮西、クロッタ(ともに日本ハム)。福谷以外の9投手は、Aクラスに位置するチームに在籍する。
また、過去のデータを見ると山口の積み重ねた200という数字が、どれだけ偉大で、中継ぎが過酷なポジションなのかも分かる。6月13日現在、100ホールド以上挙げているのは、引退した選手も含めて15人。そのうち、中日・浅尾や阪神・久保田、ヤクルト・押本ら、故障に苦しむ選手は多い。前述した広島の一岡も、右肩痛を訴えて2軍降格となった。こうした状況からも、08年から昨年まで6年連続で20ホールド以上を挙げた山口の鉄腕ぶりが際立つ。
10年に挑戦した先発では調整方法や、先発に必要な緩急を使った投球スタイルに苦しんだ。山口は「先発も抑えも経験したけど、中継ぎが一番、向いているかなと思う」と、自己分析する。
かつて、地味なポジションとして中継ぎに光が当たることはなかった。先発や抑えに続き、名球会メンバーに中継ぎのスペシャリストの名前が加わる日も、そう遠くはなさそうだ。
(デイリースポーツ・佐藤啓)
編集者のオススメ記事
コラム最新ニュース
もっとみる【野球】ロッテ「初球ストライク率アップ」の狙い 新テーマ課した理由を建山投手コーチが語る
【スポーツ】大相撲春場所で番付表ブックカバーを自作、無料で持ち出しOKの古い番付表を利用
【ファイト】なぜ藤波辰爾の西村修さんへの弔辞が涙を誘ったのか 18年間もの絶縁から2人を師弟関係に戻した「無我」の2文字
【野球】「若いうちに3年後、5年後の自分を考える時間があった方がいい」大学准教授になった元楽天・西谷尚徳さんの願い 現役時代から二刀流で学ぶ
【野球】トライアウトを経て阪神入りした元楽天戦士「私はもう終わるから、他の若い選手を使ってください」2度目の戦力外通告受け入れ教職の道へ
【野球】「野村監督は難しいサインをいっぱい出す」大学准教授になった元楽天・西谷尚徳氏 プロ初のお立ち台を呼び込んだプレーを回想
【野球】球団初の二刀流 DeNA・武田の育成プランとは 試行錯誤を重ねて挑戦中 新たな道を切り開く球団ポリシー
【野球】楽天ドラフト1期生は現在、大学准教授に 西谷尚徳氏「傍観者」だったドラフトで一場靖弘投手と再び同僚に