ロッテ“ファン投票選出0”が示すもの
担当記者としては、ちょっぴり残念な気がしている。6月27日に発表されたオールスターゲームファン投票で、ロッテはパ・リーグで唯一、選出ゼロに終わった。波に乗りきれず4位に甘んじている成績はもちろん、チームの顔とも言うべき選手が不在となっている現状がうかがえる。
この時期に首位を快走していた昨年は、井口が二塁手部門からファン投票選出されたが、今年は、三塁手部門の今江の2位が最高位。外野手に至っては10位以内に名を連ねた選手はおらず、寂しい結果となってしまった。
6月30日に発表された選手間投票でも該当者はなく、ファン投票も通じて選出者ゼロとなったのは、12球団では中日とロッテだけだった。
伊東監督は今回の投票結果について「際だった成績を残している選手がいないですからね…。選手はきちっと受け止めないといけない。ファンに選ばれる成績を残していれば、チームはもっと上にいるはずですから」と話した。チームが快進撃を見せていれば、成績とつながり、おのずとファンへの訴求力は高まるもの。開幕から首位を走った広島から8選手が選ばれたのも、当然、そうした背景がある。
それでも、チームの順位自体は芳しくなくとも、例えばヤクルト・バレンティンや西武・中村のように、確固たる“一芸”が備わった選手がいれば話は別だが、今のロッテに関していえば、玄人好みするプレーヤーが多いチームカラー。決して突出した選手がいない中、個々の力を結集してしぶとく勝つスタイルを身上としているだけに、好成績と結びつかないと、ファンへの訴求力は薄れてしまう。裏を返せば、スター選手が不在ということにもつながっている。
光るものは持っている。一昨年に首位打者を獲得し、昨年WBC日本代表に選ばれた角中や、昨季ベストナインを獲得し今季から新キャプテンに就任した鈴木。育成出身の新守護神・西野、フレッシュな顔ぶれで言うと、今季5勝を挙げているドラフト1位・石川(東京ガス)ら、スター候補生がいないわけではないのだ。「チームの顔」の出現が待たれる。
(デイリースポーツ・福岡香奈)