奇跡の残留へ…J1徳島の逆襲に期待

 W杯による約2カ月の中断期間も残りあとわずか。J1は19日の第15節からリーグ戦が再開される。各クラブは開幕からの戦いをじっくりと分析し、補強を行うなど戦力を整えてくるはずだ。

 昇格1年目で最下位に沈むJ1徳島には、清水から期限付き移籍でDF村松大輔(24)が加わった。ボール奪取能力に優れ、対人に強く、スピードも持ち合わせる守備のスペシャリスト。各年代の代表を経験し、2012年のロンドン五輪にも出場した。24歳の若さでJ1出場118試合を誇るなど実績は十分。1日の会見では「目標は残留すること」と力強く誓った。

 今季清水で出場機会が減っていたとはいえ、シーズン途中での移籍は難しい決断だっただろう。以前から村松の守備力にほれ込み、熱烈にオファーを出した小林伸二監督(53)も「よくチャレンジしてくれた。感謝している」と手放しで喜んだ。

 徳島は14試合を終え、1勝1分け12敗の勝ち点4で最下位。得点は3、失点は33。開幕前に小林監督は「勝ち点40、得点40、失点40」の目標を掲げたが、J1の舞台はそれを簡単に実現させてくれるほど甘くはなかった。相手のスピードにほんろうされ、球際の激しさに戸惑い、パスミスからゴールを奪われるシーンが目立った。失点は1試合平均2・36点。厳しい残留争いが予想される後半戦に向け、何よりも守備の立て直しが急務だ。

 徳島は6月20日から9日間、沖縄で強化キャンプを行った。わざわざそんな暑いところでやらなくても…と思ったが、指揮官の狙いははっきりしていた。

 「ひと足先に暑い場所に行って、リーグ戦が再開されたあとの暑さに体を順化させておく。それに沖縄は梅雨が明けている時期ですから、しっかりトレーニングができる」。湿気を含んだ猛暑の中、合宿前半はフィジカルを鍛え直し、後半は守備を中心に戦術面を練り上げた。

 沖縄キャンプ前の6月初旬には9日間のオフも取った。「家族でディズニーランドに行ってきました」とはMF斉藤大介主将(33)。初挑戦のJ1で傷だらけの戦いを強いられてきた徳島イレブンにとって、この中断期間はその傷を癒やし、再び立ち上がってファイティングポーズを取るために大きな意味があったに違いない。

 指揮官が掲げた「勝ち点40」を残留ラインとするならば、徳島は残り20試合であと「36」を稼がなければならない。これは「10勝6分け4敗」に相当する数字。ここまで1勝しか挙げていないチームにとっては極めて困難に思える。

 それでも、あきらめるには早すぎる。中断に入る直前、指揮官は「まだ20試合ある。(J1に)残るためにたくさんの抵抗ができる」と力強く話した。新加入の村松も「やりがいがある。必ず残留できる」と、新天地での挑戦に闘志をみなぎらせた。奇跡の残留へ、徳島の真夏の逆襲に期待したい。(デイリースポーツ・浜村博文)

編集者のオススメ記事

コラム最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス