主力続々復帰!ヤクルトは巻き返せるか
借金13で5位と2ゲーム差(記録はすべて7月14日現在)の最下位。ヤクルトが昨年に続き、今年も苦しい戦いを続けている。その原因は言うまでもなく、主力選手の相次ぐ離脱だ。
特に投手陣は、何かに呪われたかのような惨たんたるありさまを呈している。
2008年から5年連続2桁勝利を挙げ、昨年の右肘手術からの復活が期待された館山昌平が4月に再手術を受けて今季絶望。続いて抑えのトニー・バーネットも4月に左ひざ後十字じん帯部分断裂。そして、昨年に最多勝投手となった小川泰弘も4月18日に打球を受けて右手を骨折。
さらに、代役の抑えを任されたオーランド・ロマンまでが5月下旬に右肘を痛めて帰国した。柱になるべき存在を次々と失った投手陣は当然のように崩壊し、チーム防御率は12球団唯一の5点台に達した。
悪い流れは野手にも波及した。打率・319、7本塁打、44打点の好成績を残していた畠山が左太もも裏肉離れで6月9日に出場選手登録抹消。その5日後の6月14日には、昨年60本塁打の日本記録を樹立し、今季もチームトップの18本塁打を放っていた主砲のウラディミール・バレンティンが慢性的に悩まされている左アキレスけん痛を悪化させて戦列を離れた。
この状況を他のチームで例えるとどうなるか。巨人なら菅野、杉内、マシソン、アンダーソン、長野、阪神なら能見、藤浪、呉昇桓、マートン、ゴメスあたりがいないようなものだろう。これではまともな戦いができるわけがない。
打線がリーグトップのチーム打率を残すなど好調だったことで、バレンティンの離脱前までは借金7で踏ん張っていたが、それも限界に達したのか、その後の1カ月余りだけで借金を7つも増やした。
だが、離脱者が続々と復帰の時を迎え、ようやく光が見え始めている。すでにバーネットは6月19日に復帰して2セーブを挙げるなど期待通りに活躍。小川も7月12日に復帰した。敗戦投手となったが、高津投手コーチは「個人的にはいいものを見せてもらった。次に期待している」と評価した。
さらに、その翌日にはバレンティンも戦列に加わり、前半戦には間に合わない見通しだが、畠山の復帰も近づいている。
では、戦力が整ったところで、巻き返しは可能なのか考えてみよう。やはり小川の存在は大きい。今季も骨折した試合までは3連勝と、昨年と変わらない力を発揮していた。昨年は16勝4敗と1人で12個の貯金を稼いでおり、単純に考えれば、後半戦で昨年の半分にあたる6個の貯金ができるだろう。
バレンティンもこれからが期待できる。昨年は8月に月間本塁打の日本記録を塗り替える18本塁打を放った。今年も昨年のように夏場に爆発すれば、強力打線で打ち勝つ試合がさらに増えるに違いない。
そう考えると、巻き返しは可能だ。優勝はともかく、勝率5割以上でクライマックスシリーズ進出は十分あり得る。これ以上、故障者が出なければいいが…。
(デイリースポーツ・洪 経人)