観客も危険 急務!2軍戦の熱中症対策

 毎日のように猛暑日が続いている昨今の夏。明らかに10年前とは気温が違ってきている。ある地域では、川遊びのイベントにも関わらず、あまりにも気温が高いため午後から中止になるほど。全国各地、スポーツやレジャーイベントなどでも暑さ対策に神経をすり減らしている。

 夏の時期のプロ野球。1軍はナイター開催となる。ドーム球場の一部ではデーゲーム開催もみられるが、暑さを考慮したナイター試合がほとんどだ。

 だが、2軍戦はほぼデーゲームで行われている。通常、試合開始時間は12時30分か13時。若手中心の2軍戦とはいえ、1日でもっとも気温が高くなる時間帯に、3時間近いゲームに出場するとなると、熱中症などの危険性が高まってくる。

 実際、7月に新潟で行われたウエスタン・リーグの中日‐阪神戦。スタッフらが細心の注意を払っていたにもかかわらず、選手と審判の2人が熱中症にかかり途中退場するという異常事態が起こった。この試合以外にも熱中症ではないが、各球団で体調不良を訴える選手が、少なからず増えているという。

 もちろん各チーム、熱中症対策に取り組んでいる。通常、五回終了時に行われるグラウンド整備。阪神では、時間をかけてグラウンドに水をまき、状態を整えるとともに、その間を選手らの休息時間にあてている。ソフトバンクでも、グラウンド整備を三回と六回に2度行っている。中日では今季、ファウルゾーンの人工芝部分の一部を削った。コーチャーズボックスや中継ぎ投手の待機場所に土の部分を増やし、少しでも体感温度を下げる方法を取った。

 チームスタッフらも、細かく注意喚起をしている。水分補給、サプリメントなどで熱中症予防に努めている。講習会なども開いているが、それでも限界ではないかと感じる。

 やはり最たる原因は、試合の時間帯だろう。1軍と違い、ドーム球場で試合をすることはほとんどない。強い日差しが照りつける中、長いときは30分近く守備につくこともある。その間、水分補給もできず、汗が大量にしみこんだユニホームで動き回っていると、体から熱を逃がすことも難しくなってくる。

 対処法として、日中を避けた時間帯での試合開始も考えられる。だが、ある球団関係者は「例えば、夕方から試合を始めてもナイター試合になってしまう。2軍の全球場に照明設備があるわけでもない。それにナイターになると、宿泊費など予算がかさんでしまう。多くの面で難しいと思う」と話した。

 1軍と同等の費用を2軍にかけることは、どの球団も困難だろう。それに加えて設備面なども、十分ではないとなると、現状では二の足を踏まざるを得ないのか。それでも、熱中症のため、試合中に運ばれる観客も多くいる。困難な状況だとしても、毎年のように危険にさらされる、猛暑への何かしらの対策が急務ではないだろうか。

(デイリースポーツ・西岡竜一)

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