親子鷹ボクサー 松本圭佑君と父親の夢
9月7日、東京・後楽園ホールで行われた「第7回U‐15ボクシング全国大会」中学生の部50・0キロ級で松本圭佑君(15)=神奈川=が圧倒的な強さで大会5連覇し、5連続MVPを獲得した。
圭佑君は21歳で迎える2020年東京五輪の代表候補と期待され、将来のボクシング界を背負う逸材。コーチする父親は元東洋太平洋フェザー級王者で、前世界2階級王者の八重樫東のトレーナーを務める好二氏。今、注目の親子鷹だ。
父は「自分がこの仕事をしているのに子供にさせたくないというのはどうかな。でも無理やりではないし、いやならやめてもいいと思っていた」と、小3からボクシングを教えた。母の久代さんは「最初は好きじゃなかった。スパーリングを初めてした時には泣いていた」と振り返る。
だが、流れるDNAゆえか「これというきっかけはないけど、じわじわとはまった」(圭佑君)。小4で初出場したUー15大会決勝戦で判定負けして以来負け知らず。グングンと実力を伸ばした。
父の所属する大橋ジムに通う。世界王者の井上尚弥や前王者の八重樫を間近に見て、時には教えてもらうこともある恵まれた環境。家では父といろいろな試合の映像を見ながらコーチを受ける。
「圭佑」の名には父の思いがこもる。3度の世界挑戦に敗れた現役時代、所属したヨネクラジムの米倉会長から「圭佑に改名すれば世界王者になれる」と再三勧められていたが、験担ぎと断った。もしや‐の思い、世界王者への思いだ。
世界王者の中に、まだ「松本圭佑」の名はない。息子が父の夢を果たし、ボクシング史にその名を刻み込む。
(デイリースポーツ・津舟哲也)