京大・田中投手がプロで成功する可能性

 秀才の中でも、飛び抜けた一握りが昼夜を問わず勉強して、ようやく門戸が開かれる-。東大と京大に関しては、そういうイメージを持っている。

 京大工学部工業化学科に在籍する田中英祐投手(4年・白陵)が、今度はプロへの扉をくぐろうとしている。

 受験生をやったことも、硬式野球をやったこともあるが、京大とか、プロ野球などもちろん縁遠い話で、ましてやその両方なんてことになると、想像することも困難だ。

 が、そうも言っていられない。2週間弱に迫ったドラフトの、目玉選手の1人だ。上位指名確実と言われる田中がプロで成功するか否か。

 MAX149キロの直球はもちろん、一定以上のレベルに達している。スライダーやフォークなど、一通りの変化球も制球できる。もちろん、東大を除く“旧帝大”から初のプロ入りという話題性も、興行の世界では大きなプラスだ。

 不安視する向きの根拠は大きく2つあると考えられる。180センチ、75キロ。見た感じは非常にきゃしゃだ。野球強豪校で甲子園を目指して鍛え抜いた経験はない。その中でも有望な選手が、例えば京大を除く関西学生野球の、他校のレギュラーを張る。

 つまり、ここまで体力づくりを含む、野球というスポーツに費やしてきた時間が、他のドラフト候補に比べると大幅に少ない。

 もう1点は、やや“いちゃもん”に近いが、京大工学部という頭脳を、国のため、もしくは実業方面で生かすべきではないのか、という意見だ。

 後者は本人の自由。問題は前者だ。“話題の京大君”をどんどん試合で使え、もしくは露出度全開でいけ、という判断が、獲得球団の中で下された場合、田中は育成期間をすっ飛ばされる。

 そんな球団はないと信じた上で、プロの体を手に入れられるのか。

 冒頭書いたように、相当の集中力を京大受験に注いだ。リーグ戦後には、卒論も待っている。『SFA(surface force apparatus=表面力測定装置)における水和構造の逆計算理論』がテーマ。基礎研究ではあるが、進歩を見れば、体内の水分を利用した健康診断など、医療分野に役立つ機器開発にも通じる、らしい。

 とにかく、生半可では無理、ということは分かる。そうした集中力、精力をこれからは野球だけに向けることができる。

 あるスカウトは「野球しかしてこなかった大卒が、何年も2軍でくすぶっている。ウチにもいるけど、勉強に向けてきたものを野球に切り替えるのなら、伸びしろとして田中は彼らより上ではないか」と話す。

 文武両道を体現してきた田中が、次のステージで話題性と実績との両道を実現する可能性は、十分と見ている。(デイリースポーツ・西下 純)

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