亀田和毅とアメリカン・ドリーム
ボクシングWBO世界バンタム級王者の亀田和毅が活動の舞台を海外に置き、順風満帆だ。野球、サッカー、テニス-海外を拠点に成功する日本人選手は珍しくないが、ボクシングでは初のケースになるかもしれない。
足がかりとなったのは7月12日に米ラスベガスで、指名挑戦者の同級1位プンルアン・ソーシンユー(タイ)を7回TKOで下し、2度目の防衛に成功した試合だ。
この試合を見た米国人大物代理人、アル・ヘイモン氏が和毅を傘下に収めたことでビッグチャンスが巡ってきた。11月1日、シカゴで行われた同暫定王者、アレハンドロ・エルナンデス(メキシコ)との王座統一戦は入札となり、和毅(ヘイモン氏)サイドが約6000万円で落札。和毅のファイトマネーはその80%の約5000万円という巨額なものとなった。
次戦はWBA王者との団体統一戦が有力で、亀田プロモーションによると「エルナンデス戦以上。1億円のファイトマネーになるかもしれない」という。
亀田ジムは昨年末、二男の大毅の「負けても防衛騒動」で、会長らが資格をはく奪され、国内で活動できない状況が続いている。海外進出はやむを得ない選択でもあるが、和毅自身はケロリとしている。
「オレは15歳のときからメキシコに行って、海外は慣れている。試合も海外の方が多い(国内12、海外19試合)よ」。スペイン語を自由に操り、英語もかなり上達したという。
日本ボクシングコミッションは、和毅が海外遠征届を出さなかったことを問題とし、日本のジム所属の世界王者とみなさない見解を示し、7月度のランキング表から名前を削除している。
和毅はまだ23歳。国内リングに背を向け、「アメリカン・ドリーム」を手にすることができるだろうか。
(デイリースポーツ・津舟哲也)