“1年の納め”全日本の最強タッグ開幕

 全日本プロレスの「2014世界最強タッグ決定リーグ戦」が16日に開幕した。前身のオープンタッグ(77年開催)から数えると、実に38年連続開催。存亡の危機に陥った分裂も経験した団体だが、“冬の風物詩”は守ってきた。

 プロレスファンは最強タッグが始まると、1年の納めを意識する。マット界で季節を感じる大会は最強タッグ、同じ全日本が春に開催する「チャンピオン・カーニバル」、新日本の真夏の祭典「G1クライマックス」がある。最強タッグより早い74年に第1回が行われた-カーニバルは今年で34回(83~90年はリーグ戦なし)、G1が24回だけに、38回は異例の長寿だ。

 オープンタッグを含め、弟テリーとの『ザ・ファンクスでタッグの祭典を3度制したドリー・ファンクジュニアは16日の後楽園ホール大会に出場後、「私は3回優勝してるけど、今も大会が続いていることは素晴らしいことだよ。1回目(77年)に優勝したときを一番覚えてる。馬場&鶴田、ブッチャー&シークらがいたね。その後もブロディ&ハンセン、ゴディ&ウイリアムス…みんなグレートだった」と振り返って目を細めた。PWF会長としてもリングに上がったドリーは、入場式で誇らしげに開会宣言を読み上げた。

 全日本は分裂などの影響もあり、最強タッグや-カーニバルはかつてほどの豪華メンバーではない。それでも、名前入りのたすきを肩にかけ、リング狭しと居並ぶ選手に目を輝かせるオールドファンの姿があった。

 7月に新体制となった全日本の秋山準社長は、昨年までの武藤敬司体制では封印されていた創設者の故ジャイアント馬場さんを再び前面に押し出した。かつて10月恒例だった「ジャイアントシリーズ」の名称を復活させた秋山社長は、「春のチャンピオン・カーニバル、冬の最強タッグは変えない。(13年スタートの)秋の王道トーナメントもやっていく。ファンの人にも分かりやすいだろうし」と“看板シリーズ”は不動にすると明言。王道ファンを喜ばせた。

 時代に合わせた変革も必要だが、過去と現在をつなぐ名物シリーズは遠い未来にもぜひ残して欲しい。(デイリースポーツ・大島一郎)

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