甲子園の黒土が赤に 折衷仕様に違和感

 あまりにも違和感を覚える光景だった。11日に甲子園で行われたTG連合対MLBオールスターズの一戦。黒土と緑の芝生のコントラストは、その舞台にはなかった。マウンドと打席周辺は赤土が入れられ、奇妙な装いを呈していた。

 「これもメジャー側の要望でした」と明かした関係者。当日の午前10時、阪神園芸のスタッフと米国人のグラウンドキーパーが協力して整備を行っていた。メジャーの本拠地で黒土を使用するグラウンドはない。必ず赤土が入れられている。当初、MLB側は甲子園で試合をするに当たって、内野をすべて赤土に入れ替えることを要望してきたという。

 それはなぜか-。「黒土だとグラウンドが柔らかい。マウンドもそう。より向こうの選手が慣れ親しんだ環境でやることが求められた」と同関係者は説明する。甲子園のマウンドは赤土のマウンドと比べて柔らかいと言われる。日本人投手がメジャーの硬いマウンドに苦労するのと同じく、外国人選手も日本独特の柔らかいマウンドに手こずる。

 野手でも投手でも慣れないグラウンドに適応しようとすれば故障のリスクも高まる。オフシーズンの親善試合で一流選手をケガさせてはいけないという思いがMLB側にあったようだ。

 その一方で黒土を除去して赤土を入れるとなると、球場側も莫大な費用がかかる。親善試合の前、一塁ベンチ前で報道陣に対応した和田監督は「すべての土を入れ替えるとなると、1000万を越えてしまうらしい。だからマウンドと打撃周辺だけという形になったみたい」と明かした。かくして“日米折衷仕様”に形を変えた甲子園がファンにお披露目されたわけだが…。そこまでするほど現時点で日米間の野球の土壌は違いすぎている。

 同試合で攻撃と守備でボールを入れ替えたように、国際大会のたびに注目を集める“ボール問題”はいまだに解決していない。今オフ、鳥谷が海外FA権を行使してメジャー挑戦を表明しているが、土のグラウンドで育った日本人選手はイレギュラーに対応するため、捕球姿勢の形が重要視される。

 だがアメリカでは天然芝の荒れたグラウンドでゴロは勢いを失う。幼少期から内野手は早く捕球し、早くボールを転送できるかをたたき込まれる。無理な体勢でも投げられる肩の強さ、身体能力の高さが求められ、堅実さは重要なファクターとは言い難い。

 かつて福留が「そもそも道具が違うから。文化も違えば環境も違う」とメジャーの野球を評していた。あの甲子園の姿が象徴していたように、同じスポーツながら日米間には幾多の“異文化”が介在している。(デイリースポーツ・重松健三)

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