寒い仙台にFA選手来ない!楽天の急務
シーズンの戦いも終わり、今はストーブリーグのまっただ中だ。選手ではなく、各球団のフロントの戦いに切り替わる。日本ハムの大引がヤクルトに、同じく日本ハムの小谷野がオリックスにと、新天地を選んだ選手、熟慮の末に残留を決断した選手、着々と、進路が決まりつつある。
楽天は現状、苦しい戦いを強いられている。大引とは獲得交渉を行ったが実らなかった。昨年も、巨人に行った片岡、大竹と交渉はしたが敗北。とにかくFAでの選手獲得はことごとく失敗に終わっている。
最近ではオリックス・金子の獲得を明言したものの、争奪戦は必至。これに関しては今後の展開に注目だが「争奪戦になれば厳しい」とみられるのが楽天。5年間担当してきて、素直に感じることでもある。
巨人やソフトバンクのような巨大な資金で補強をするチームではない。「この球団は外国人と、トレード、ドラフトは特に失敗してはいけない。FAで選手がとにかく来ないんだから」。これは、星野シニアアドバイザー(SA)のコメント。その真意は、マネーゲームで分が悪いからだけではない。仙台という土地柄も影響する。「同じか、他より少しいいくらいの条件で、寒い仙台に来たいとはなかなか思わない」。春先と秋の、特にナイターゲームのコボスタ宮城の寒さはかなり厳しい。場所でいえば札幌だって寒いが、ドーム球場なので試合をする上での心配はない。
今季は最下位に終わった。「責任は全て私にある」。監督を務めた星野SAは言い切ったが、補強で言えば外国人は失敗だった。昨年の優勝に大きく貢献したマギーの代役として獲得した、メジャー150発のユーキリスは4月下旬に離脱しそのまま帰国。ボウカー、ラッツ、エバンスと次々に取ったが、シーズン通して結果を残した選手はいなかった。
25日、楽天の球団納会が仙台市内で行われた。その夜、星野SAは球団にこのような内容のアドバイスを送ったという。「もっと、人脈を広げないと。情報を取れる人間が少なすぎる。適材適所という言葉があるだろう」。
現状、安部井寛チーム統括本部長が編成のトップを務めている。今年4月の組織変更で発表された、安部井氏の肩書は「執行役員 チーム統括本部 本部長 連盟担当兼チーム統括本部 スカウト&ディベロップメント部 部長兼チーム統括本部 コンディショニング部 部長」だった。文字だけをなぞっても忙しさがわかる。1人で抱えられる仕事量ではなかった。
安部井氏を支えられる立場として、12球団に太いパイプを持った人間がいればベストだと考える。もちろん星野SAこそ、まさにパイプを持った人物だが、今のところ、その役割は任されていないらしい。情報収集、調査、接触、交渉。常に迅速に動かなければ、他球団との競争に勝ち抜くのは難しいだろう。そのためには、もっと組織内部に厚みを持たせることが必要だ。
最下位からの浮上を目指す2015年。大久保新監督をサポートしていく上で、戦力補強は重要なポイント。ドラフトは終わった。他球団がうらやましく思うような、外国人補強、トレードを成功させないと、来年も厳しい戦いは避けられない。(デイリースポーツ・橋本雄一)