中畑語録で振り返る今季のDeNA
中畑清監督(60)が率いて3年目のDeNA。順位は昨季と同じ5位に終わった。1年間の取材メモから、節目ごとの「言葉」で2014年を振り返る。
◇ ◇
◆3月27日 開幕前夜。抱負を語る。
「最後まで諦めない野球をやり続ける。(昨季は)巨人独走の展開を作ってしまった。星勘定を五分にする責任がある。開幕投手は三嶋。投手陣を引っ張る自覚が出ていた。柱として期待したい」
◆3月28日 ●1-9ヤクルト 開幕戦は大敗。
「納得いく負け方なんかないけど、内容がひどすぎた」
◆4月2日 ●9-15巨人 八回に投入した新人平田、山口も打たれて5点差を守れず。4月低迷の一因に。
「継投にスキがあった。勝ちパターンの投手をつぎ込まなければいけなかった。取り返しのつかない敗戦」
◆4月17日 ●5-6中日 4連敗で借金8。ブランコ左太もも裏肉離れで離脱。
「はっきり言ってどん底の底」
◆4月26日 ●1-7阪神 8カード連続負け越し。5勝18敗で借金は最大の13。
「忍んで、忍んで、この流れを終わりにしたい」
◆4月28日 ○8-4 抑えに三上を抜てき。これが転機に。
「三上に決めた。最後の1イニングを任せられる期待感がある」
◆5月6日 ○2-1巨人 G戦初勝利。三上がプロ初セーブ。
「緊張感の中で勝ち試合を作れた。理想の逃げ切る野球だった」
◆5月7日 ●2-10巨人 ブランコの代役・中村紀を抹消。
「チーム方針に従わない言動があった。懲罰的な部分がある」
◆5月19日 交流戦開幕前夜。
「交流戦は勝率5割を目指す」
◆5月31日 ○4-1ロッテ 13勝12敗で月間勝ち越し。
「勝ち越し?聞き慣れていないなあ」
◆6月8日 ○5-1楽天 グリエル猛打賞デビュー。
「期待以上の雰囲気、オーラがある」
◆6月15日 ○5-1ソフトバンク 試合前にブランコ左太もも裏肉離れ再発で抹消。
「ウエートも落とさせる。本人は『太っていない』と言うけど、キレがない」
◆6月26日 ○2-1日本ハム 7年ぶりに交流戦勝ち越し。交流戦5割を目標に掲げた根拠を聞かれて。
「根拠?ないよ。願望だな。去年は交流戦で借金を10も作った。イヤなイメージを持つのはイヤだった」
◆7月13日 ○8-4ヤクルト 同11日に最下位から脱出した勢いで3タテ。以降5位以上をキープ。
「野球の質が変わった。今年は点はとれないけど逃げ切れる」。
◆7月16日 ●7-11広島 前半戦終了。35勝44敗1分けの5位。
「4月は苦戦したけど、短い時間で上昇気流に乗れた。勝ちパターンが作れた。得点は昨年の半分なのに、勝ち試合を作れている」
◆7月30日 ●2-3巨人 7月は10勝8敗と勝ち越し。先発転向の山口が活躍。
「後ろで投げるには限界だった。チャンスがあるからトライした方がいい。選手の能力は計り知れない」
◆8月5日 ○7-6巨人 5点差を守れず勝ち越されたが、桑原がサヨナラ打。
「野球の怖さ、喜び、感動を全部味わえた。野球っていい」
◆8月7日 ○10-1巨人 初G3タテ。
「3年かかって、やっとできた。大輔の完投、大量得点を重ねる姿。自信になる」
◆8月12日 ○6-4中日 4位中日と1ゲーム差、3位広島とは3ゲーム差と最接近。首位巨人とも6・5ゲーム差。
「ウチは8月中に借金返済したい。完済人になりたいね」
◆8月27日 ○8-1中日 4位浮上。
「その上を目標にしている。もっと上を目指して頑張りたい」
◆8月31日 ○5-3巨人 G戦は9勝7敗。8月14勝10敗と勝ち越し。53勝57敗で借金は4。だが、「4」の壁は破れなかった。
「投手陣が頑張っている。防御率は3点台になっただろう?。初めてだよ。これまでは青天井だったから」
◆9月4日 ●3-5阪神 3位との3連戦は1勝2敗。自力V消滅し巨人にM点灯。
「最悪でも勝ち越したかった。マジック?ウチがそういうことを気にするようなチームになったということ」
◆9月20日 ●1-3広島 V消滅。3位阪神に6・5差。
「完全消滅か。残り試合が減ったら、そうなってくる。上位3チームは負けないな」
◆9月26日 ●3-6巨人。巨人優勝。
「相手の優勝を味わって、糧にしてほしい。次は主役になれるように。監督として経験したい気持ちもある」
◆9月27日 ○7-5巨人 CS消滅。
「まだ4位のチャンスがある」
◆10月1日 ●2-4中日。直接対決に敗れ5位転落。シーズン負け越しも決定。
「全力投球して、結果を出すしかない」
◆10月2日 ●1-4中日 続投決定。
「やり残したことがある。責任をとるより、本当に勝てるチームにする方が私の仕事だという気持ち」
◆10月3日 ○6-3巨人 G戦勝ち越し。
「巨人への苦手意識はオレが一番感じていた。それを取っ払うことができた」
◆10月7日 ○4-3ヤクルト 67勝75敗2分けの5位でシーズン終了。借金は昨季の15から8に減った。
「去年とは内容が違う。投手力がしっかりして、戦えるチームになった。課題は2つ。守りに対する非常にレベルの低いミス。もう1つは攻撃力。簡単に完封負けする打線の弱さ。波がありすぎた」
◇ ◇
「言葉は言い切る形ではっきりと口にすることで実現する」というのが中畑監督の持論。「諦めない姿勢」「巨人戦5割」、「交流戦5割」と序盤の低迷から有言実行で立て直した。その一方で「5割復帰」を果たせず、3位に3ゲーム差まで詰め寄ったが、CSという最大目標は果たせなかった。「本当に勝てるチームにする」。最終戦で語った言葉を来季、具現化できるか。
(デイリースポーツ・鈴木創太)