ロッテドラ2京大・田中は話題先行か…
京大初のプロ野球選手が誕生した。ロッテにドラフト2位指名された京大・田中英祐投手が、2日に同球団と契約を締結。神戸市内のホテルで行われた入団交渉には25社70人の報道陣が集結し、関心の高さをうかがわせた。
東大と並ぶ日本最難関大学からのプロ野球選手輩出は大きな話題だが、田中の場合、注目すべきは、その条件面だろう。契約金7000万円、年俸1500万円。特に年俸は新人選手の上限額。1位指名した早大・中村が内野手ということを考えれば、田中は事実上、投手のトップ評価ということになる。昨秋2位の吉田が大卒で年俸1300万円であったことと比較しても、田中に対する期待の大きさが表れているといっていい。
これまで東大出身のプロ野球選手は過去に5人いたが、99年秋にドラフト7位で日本ハムに入団した遠藤良平は、契約金500万円、年俸500万円。04年秋に横浜(現DeNA)に9巡目指名された松家卓弘は、契約金3200万円、年俸780万円だった。
遠藤は東京六大学リーグで通算8勝。松家は150キロの速球を武器に同3勝。田中も最速149キロの直球を操り関西学生リーグで通算8勝を挙げたが、東大の2人と比較しても、順位はもちろん、“破格”の条件を手にし、プロの世界に飛び込むことになった。
常について回る「京大卒」の肩書き。もはやこれは避けて通れない。しかし、田中を視察してきた他球団のあるスカウトは、「京大ということで注目を浴びることが多かったが、彼はどこの大学であっても、実力を示していたと思う」と話す。大学名という“付加価値”を差し引いても、あくまで1人の逸材として、田中の確かな力には期待が寄せられている。
契約を終え、ロッテ・林球団本部長は「この人気も、グラウンドで活躍できなければ終わってしまう。京大卒でもプロで活躍できる、いろんな可能性があることを示して欲しい」と付け加えた。右腕の投球映像を見て、指名を後押しした伊東監督も「西武の岸のようなタイプ」と、リーグを代表する投手であるかつての教え子にイメージを重ね合わせる。
田中は、決して話題先行の投手ではない。究極の文武両道を貫いてきた選手として、初めてプロの壁を突き破る可能性を秘めた存在。その右腕には大きな期待がかかっている。
(デイリースポーツ・福岡香奈)