箱根駅伝 今回も“山”が勝負分けるか
年始の風物詩・第91回箱根駅伝が来年も1月2、3日に行われる。近年では今井正人(順大、現トヨタ自動車九州)柏原竜二(東洋大、現富士通)服部翔大(日体大、現ホンダ)と往路の最大のポイント、山上りの5区で圧倒的な力を見せつける“山の神”が出現し、チームの勝利をもたらしてきた。
昨年大会優勝の東洋大も5区にエース設楽啓太(現コニカミノルタ)を投入し、区間賞の活躍でV奪還に成功した。今年も5区の明暗がそのまま雌雄を決する可能性は高い。
今季、圧倒的な強さで全日本大学駅伝を制し、“大本命”の呼び声高い駒大は、前回5区区間3位だった経験者の馬場翔大(3年)の起用が濃厚だ。前回のタイムは1時間19分54秒(※第91回大会からこれまでの記録は参考扱い)。スピードを生かせる4区までで大きな貯金が見込めるだけに、馬場が前回以上の走りをすれば、優勝は大きく近づく。
ここ数年、山で強さを見せてきた東洋大は酒井俊幸監督が「山の特殊区間は初めて使う子たちになる」というように、今回は山の経験者が不在で“しのぐ”区間となりそう。4区までで駒大に大きなリードを奪われれば、連覇に向けて厳しい展開が待ち受ける。
一方で山に自信を見せているのが、渡辺康幸監督のもとでの最後の箱根となる早大と、初優勝を狙う青学大だ。
早大は1、2年時に5区を走り、区間3位に入った山本修平主将(4年)が2年ぶりに5区に帰ってくる。前回大会はアキレス腱の故障で欠場。2年分の思いを最後の山上りにぶつける。調整は順調なようで、渡辺監督も「山本が5区に入ることで総合タイムが4~5分は速くなると思う。天候次第だが、駒野(亮太)コーチの早大記録(1時間18分12秒)を破ってほしい」と期待を込める。
青学大は原晋監督が、エースの神野大地(3年)の起用を明言。指揮官は「山は神の(野)大地だ。(2代目山の神)柏原超えを期待している」と、絶対的な自信を持っているもよう。全日本では3位とチーム全体の地力もついてきており、山次第で初優勝も見えてくる。
そして不気味なのは、5区に2年連続でケニア人留学生のキトニー(3年)を起用してくる可能性のある日大だ。
前回大会では寒さ対策のため、毛糸の帽子を2枚重ねしたり、アームウォーマーや、ネックウォーマーと着込みすぎた結果、暑くなりすぎてしまい、給水で頭から水をかぶってしまうなどちぐはぐな結果に。キトニー自身も沿道に手を振ってこたえるなど舞い上がってしまい、1時間21分51秒で区間10位に沈んだ。
「リベンジしたい気持ちはある。もし5区をもう1度走るなら78分(1時間18分)ぐらいではいける。区間賞が欲しい」と、リベンジに燃えている。全日本インカレ2連覇の力がさく裂すれば、“大まくり”があってもおかしくない。
箱根の山は、今度はどのクライマーを“神”に選ぶのか-。
※5、6区の走路にあたる函嶺洞門が今年2月6日から通行禁止になるため、第91回大会では新たに敷設されたバイパスを使用する。再計測が行われた結果、従来の計測数値に誤差があったことから距離表示は23・4キロから23・2キロに改められたが、バイパスを通るため、実質は約20メートルの延長となっている。
(デイリースポーツ・大上謙吾)