年度代表馬 ファン参加型選考はどうか
有馬記念が終わり、14年中央競馬も幕を閉じた。先の衆議院議員選挙で低投票率が話題となったが、得票数に気をもんでいたのは競馬も同じだ。14年有馬記念のファン投票1位・ゴールドシップの獲得票数は、6万6796票。12、13年はオルフェーヴルで、それぞれ9万0474票、8万1198票。10万票超えは11年ブエナビスタ(10万9247票)が最後で、現在は4年連続で得票を減らしている。
ある競馬関係者も、プロ野球のオールスターを引き合いに出し「プロ野球ではトップだと50万票くらい入ります。来年の有馬記念ではぜひ、10万票を超えられるように頑張りたい」と意気込んでいた。ファン投票の得票数が即、競馬人気と直結するとは思わないが、注目度を測るバロメーターにはなる。毎年、有馬記念は10万人を超えるような観客動員を誇るだけに、実に自然な発言だと感じた。
ブエナビスタ、オルフェーヴル、ゴールドシップが、人気で過去の名馬に劣っているとは思えない。仕事や娯楽の多様化が進む現代で、忙しくなったファンが投票しないだけだろう。インターネットも利用可能となり、以前よりも投票しやすくなっているにもかかわらず、だ。要は多少面倒でも、投票したいと思わせる魅力的な工夫ができるかに尽きる。
私が提案したいのは、ファン投票をした人にJRA賞の投票権を与えるという“特典”。「一定の基準を超える競馬場への来場ポイントを持ち、宝塚記念と有馬記念でファン投票を行った人は、JRA賞の選考に参加できる」ようにするのだ。
競馬場へ足を運ぶ人を増やし、同時にグランプリの注目度を高める“カンフル剤”とはならないか。来場者が増えれば、馬券が売れる可能性も高まるはずだ。毎年、年末年始に競馬ファンが集えば「年度代表馬はどの馬?」といったテーマを肴(さかな)にお酒を飲み、大いに盛り上がるもの。その選考に直接関われるとなれば、ファン投票への興味は一気に増すに違いない。
JRA賞は、日本中央競馬会のホームページによると「競馬と馬をファンやマスコミや競馬関係者の方々はもとより、一般社会へも広くアピールし、競馬の市民性やステータスの向上と馬事の普及を図ることも大きな目的」とのこと。ファンが投票可能になることは、その「一般社会への広いアピール」や「競馬の市民性やステータスの向上」につながると言えるだろう。
競馬記者だけではなく、毎週のように競馬場に通う熱心なファンの後押しもあって選ばれた賞となれば、さらに重みや輝きのある勲章になるはず。グランプリのファン投票に対する関心を高めるためにも、ぜひ、他のスポーツに先駆け、公式の“ファン参加型年間表彰”実施を検討してほしいものだ。(デイリースポーツ・大西修平)