綾野剛の強運伝説…偶然が産んだ勝負作

映画「新宿スワン」より。風俗嬢役の沢尻エリカ(左)と綾野剛
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 1月末にビジュアルが解禁された映画「新宿スワン」(5月30日公開)。主演の綾野剛(33)が金髪パーマ頭の主人公スカウトマンに扮(ふん)する人気漫画の劇場版だ。全国300館以上での拡大上映が決定している注目作。意外なことに綾野のキャスティングは偶然の産物だったという。映画「クローズZERO」シリーズや「ルパン三世」をヒットに導き、綾野の所属事務所社長でもある山本又一朗プロデューサー(67)に舞台裏を聞いた。

 山本氏は「新宿スワン」を「綾野をメジャーで男にする作品。最低でも興収15億円はいきたい」と位置づける。今やドラマや映画の常連となり、昨年公開の主演作「そこのみにて光輝く」では数々の映画賞を受賞している綾野。すっかり“メジャー”な感もあるが、山本氏は「『そこのみ』で俳優としての熟成度に対して評価をしていただきました。でも、興行的なものも含めてメジャー作品にちゃんと乗り込んでほしかった」と語る。きっちり数字を残せるスターに育てたいとの親心だ。

 東京・新宿の繁華街・歌舞伎町を舞台に、女性を水商売へと誘うスカウトマンたちの世界が描かれる「新宿スワン」。05年に原作の連載がスタートした時から注目してきた山本氏は「綾野のキャスティングは偶然」と明かす。「一本立ちするための作品がほしい、とは思っていたけれど、これとは考えていなかった」という。

 では、どんな偶然が起きたのか。話は13年春にさかのぼる。

 「『スワン』の原作者である和久井健さんや(版元の)講談社の方と食事をしていた時に、たまたま綾野から電話があったんです。呼んだら、綾野が扉を開けた瞬間、和久井さんが『いるじゃないですか、(主人公の)タツヒコが』と言った。そこで一気に映画化が動き出した」

 その場で意気投合した綾野と和久井さんは連絡先を交換し、すぐに飲み仲間になったという。山本氏も「これは綾野主演で進めていくしかないな」と突き動かされ、“たまたま”が役者と勝負作を結びつけた。

 興味深いことに、山本氏は綾野のもう1つの強運エピソードを披露してくれた。綾野が一躍、注目されるようになった映画「クローズZERO 2」のオーディション秘話だ。

 「すべてのキャスティングが決まった後に『どうしても見てほしい俳優がいる』と綾野が来た。とはいえ、もう役はすべて決まっているわけです。その日は帰ってもらったんだけど、そうしたら、決まっていた俳優がブレークして(映画に参加できる)撮影日数が足らなくなった。3日間で脚本を書き換えて、綾野の役を作ったんです」

 オーディション時に才能の一端を見せていたからこその抜てきだが、世に出たきっかけにも偶然という強運が存在していたわけだ。

 「新宿スワン」の撮影は昨年4月4日から同5月20日まで行われた。初日の撮影を山本氏は「綾野がぶったまげるようなテンションで入ってきた」と振り返る。「発狂モード…と言うのかな。共演の伊勢谷友介君もびっくりしていた。それくらいの気合だった」という。本作にかける綾野の意気込みが伝わる。

 「クローズZERO」は2作で興収合計55億円の大ヒットを記録した。山本氏は「新宿スワン」について「『クローズ』よりも宣伝費をかける」と宣言し、全力でバックアップする予定だ。果たして“白鳥”は“カラス”に迫ることができるのか-。綾野の勝負作の行方に注目したい。

(デイリースポーツ 古宮正崇)

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