ヤクルト山田 200安打へ右打ち習得
昨年、日本人右打者の年間最多記録を更新する193安打を放つなど大ブレークを果たしたヤクルトの山田哲人内野手。今季は200安打などを目標に掲げ、さらなる飛躍を目指す22歳は今、右打ちの強化に取り組んでいる。
右打ちとは、右打者がライト方向へ球を打つこと。山田は「右打ちを意識するというより、打つポイントを近くにするのを意識することで自然と右方向へ球が飛ぶ」と話すが、なぜ右打ちが必要なのか。山田の才能を開花させたヤクルトの杉村繁チーフ打撃コーチに聞いた。
過去には米大リーグ・ジャイアンツの青木宣親、ソフトバンクの内川聖一らの強打者も育てた名伯楽は「ポイントを呼び込むのだから球がよく見える。そうなると、ボール球を振らなくなる。三振が減る。四球が増える。ファールを打てる…」と次々と利点を挙げ、「右打者が右方向に打つのは絶対に得」と断言。
さらに、「2ストライクになると内角の直球が来る確率は減って、70~80%は変化球が来る。球を呼び込んで右方向に打てると変化球が打てる。粘り強い打撃ができる。走者がいるときに詰まった当たりになっても進塁させられるとか、いいことずくめ」と強調した。
では、どうやって打つのか。素人の考えなら右打ちは打球の飛距離が落ちると思いがちだが、「右打者は外の球を打てなければアカン。左打者は走りながら球の軌道にバットを入れれば当たる角度で飛ぶ方向は変わるが、右打者の外角低めの球はしっかり呼び込んで上からガツンと打たないと飛ばない。右方向へ引っ張るように打つ」と、飛ばすコツも説明してくれた。
それでは、山田は右打ちを身につけることで200安打を打てるのか。「これだけ動くボールが多い時代、引っ張り一本じゃ200本は打てない。去年はあと7本だったが、終盤に苦しんで打てなかった。打つには何をするべきかを彼なりに考えて、もう少し右方向の打球を増やせばいいと思ったんじゃないか。あと7本ぐらい打てる」と、師は太鼓判を押す。今季も山田から目が離せない。
(デイリースポーツ・洪 経人)