話題の「セカンド・ラブ」の見方とは
医療ドラマと刑事ドラマが花ざかりの昨今、昼メロならぬ「夜メロ」と銘打った異色のドラマが、話題を呼んでいる。KAT-TUNの亀梨和也と深田恭子が恋人役を演じ、6日にスタートしたテレビ朝日系金曜ナイトドラマ「セカンド・ラブ」(金曜、後11・15)だ。
脚本は恋愛ドラマの名手・大石静氏。ポスターは2人がシーツの上で寄り添っている。おまけに制作発表ではいつもさわやかな亀梨が「撮影で服を着ない日もあります」「ジャニーズのセックスシンボルを目指します」、大石氏も「亀梨君が、エロい」と過激発言がポロポロ飛び出した。
1話を見てまたビックリ。恋愛もの連ドラは、最終回で結ばれハッピーエンド、が多いが、展開が早い早い。亀梨と深キョンは1話で出会って、結ばれてしまった。…なんだかいろいろ斬新。気になるので、テレビ朝日の中川慎子(のりこ)プロデューサーに話を聞きに行った。
中川Pは「1週間頑張った金曜の夜に、自分へのごほうびとして、ラブストーリーにどっぷりつかってほしい。ヒリヒリするドラマのおもしろがり方をしてほしい」と瞳を輝かせながら話をしてくれた。
始まりは大石氏の「コンテンポラリーダンサーを主役にした物語を描いてみたい」という言葉だったという。「ラブストーリーを見て育ってきた」という中川Pも「今、ど真ん中のラブストーリーが少ないと思っていた。見たい、という意識もあった」と企画が実現した。
脚本の大石氏をはじめ、プロデューサー、演出、宣伝などスタッフも女性が多く、「女性目線で描く恋愛ドラマ」が目指された。
主演の2人を選んだ理由も聞いた。主人公はコンテンポラリーダンスの世界的な才能を持つ男という設定。中川Pによれば「踊りで愛を告白することが出来る人。女性の願望のような、この世にあらざる男」を探したといい、「孤高と残酷を表現できる俳優」として、亀梨が選ばれた。「亀梨さんって格好良くないくらいがかっこいい。新しい亀梨さんの魅力を見せたい」。確かにそうかも。亀梨はじっとしているよりも、動いて、話すと、ぐっと魅力が増す人だ。
ヒロインは「この世界観を腹をくくってやってくれる女優。渇きやあきらめを美しく表現できる30代」。大石作品でこれまで何度も新境地を切り開いた深田が決まった。中川Pは「深田さん自身は思慮深く知的な大人の女性。ドラマの役を本人に近づけたいという思いもあります」。
ちなみにこの2人は、公開中の映画「ジョーカー・ゲーム」でも共演しているが、今回の共演は「たまたま」だそう。並んだ感じや演技の質を見ると、“新ゴールデンコンビ”が誕生するかもしれない、とも思う。
ターゲットは「彼らと同世代と、その上の世代。大人による、大人のためのラブストーリーをお届けしたい」と中川P。恋愛ドラマを見て育った目の肥えた層を満足させるためには、ありふれたドラマじゃダメなのだ。
演出面にもこだわりがある。「恋愛において、ファンタジーに陥らないようにしているんです」(中川P)。そういえば、1話では亀梨に告白された深キョンが「新手の詐欺ですか?ごめんなさい、私、お金ないです」と断る場面があった。確かに、現実で、出会ったばかりの年下イケメンにいきなり告白されたらこのリアクションになるかもしれない。ラブシーンで髪の毛が引っかかる場面もある。リアル。そのために「かっこ悪いことも描いていきます」と中川P。“この世にあらざる男”と“リアリティー”の相反するものを演出している。
加えて、大石氏から送られてくるのは亀梨が「読んでいて衝撃で何度かフリーズする」という刺激的な台本。深夜の放送時間だからこその大胆の表現もある。実は「スタッフもザワザワしている」といい、現場では俳優、スタッフが解釈を話し合い、撮影しているのだとか。中川Pは「お2人は『やるんだ!』って腹を決めてくれてます。亀梨さんはストイックに、せりふを大事に、いかにキャラとして成立できるかを追究してくれています。深田さんも振り切って演じてくれて、母性的な感じや、振り回される感じが出ている」と手応えを口にした。
今後は「2人の成長や変化」が描かれるといい、中川Pは「カップルや夫婦にとって普遍的なことも描きます。ドラマを見て、デートをしたい、って気持ちになってもらえればうれしいです。テレビの力を信じています」とPR。暗いニュースも多い今日このごろ。久々に恋愛ドラマにどっぷりつかってみるのもいいかもしれない。(デイリースポーツ・原田智恵)