担当者直撃!白毛馬ブチコの素顔に迫る
元競馬担当のO記者と久しぶりに酒を酌み交わした時のこと。競輪&競艇担当になってからの彼は「競馬?もう馬券は買ってないし、競走馬なんて全く知らない」らしい。今、私がひいきにしているトーホウジャッカルですら「何ですか、その馬?」。いったん競馬から離れると私もこうなってしまうのか…と、少し怖くなった。
ここからが本題。「ただね」。そう続けた彼のひと言に、ある意味、感心した。「あの馬だけは知ってます。“ブチコ”。あの馬は面白い。俺、ファンですもん」。昨年の菊花賞馬の名は知らないくせに、ブチコの存在を知っているとは…。ネットに流れるニュースの影響力って大きいですね。
斑(ぶち)模様で、すっかり人気者となったブチコ(牝3歳、栗東・音無厩舎)。一般のニュースにも取り上げられる白毛馬は、競馬ファンのみならず、あまり競馬を知らない人にも応援されている。私自身は、日々の仕事に追われてブチコのことをあまり知らなかった。早速、自転車をこいで音無厩舎へ。せっかくなので競走馬としてではなく、アイドルホースとしてのブチコの素顔に迫ってみた。
厩舎に着くなり、担当の橋本助手に質問攻め。私の変化球攻撃にも、親切丁寧に答えてくれた。
-初めてブチコの存在を知ったのはいつですか?
「1歳のときに先生が“来年、ウチにブチが来るで”と。そのときに知りました」
-担当が決まったときの感想は?
「誰がやるのかな?と思っていましたが、入厩する1週間前ぐらいに僕が担当することになったんです。僕は結構、変わった馬が好きなんです。担当が決まったときは“やった~”と思いましたね」
-実際に担当して、普通の競走馬との違いはありますか?
「特に感じません。馬にまたがって上から見ていると、大体は白い部分じゃないですか。なので、特にブチ柄が気になることはないですね。ただ、入厩した当初、夜にカイバをつけに行ったときに、暗闇の中からあの顔が出てきたときは正直、怖かった(笑い)。もう慣れましたけどね」
-白毛馬は体質が弱いと聞きますが、普段から気をつけていることはありますか?
「色素がないですからね。なので、すぐに皮膚病が出たりしますが、体質そのものは普通の馬と変わりません。鹿毛馬でも、白脚の馬は脚の部分が荒れやすいし、その症状とさほど変わりはありません。普通の馬と同じように扱っていますよ」
-何か癖はありますか?
「それが特にないんですよ。本当に素直ないい子です」
-好きな食べ物はありますか?
「何でも食べますけど、にんじんが好きですね。牧場では食べさせないので、入厩した当初はあまり食べませんでしたが、今では好んで食べています」
-これだけ目立つ馬を担当していると、周りからいろいろと言われるんじゃないですか?
「ブチ毛あるあるですか(笑い)。普段、調教に乗ったりしていると“ボロ(ふん)ついてるで~”とか“ちゃんと手入れしろよ”とか言われます。ちゃんとしているんですけどね(笑い)」。
-ところでこのブチ模様。芦毛馬の場合は年齢を重ねるごとに白みが増してきますが、ブチコはこの先、どんなふうに変化していくのですか?
「先生によると、茶色い部分が徐々に青みがかって、年とともに薄くなっていくらしいです。ブチコをよく見てもらえれば分かるんですけど、既に茶色い部分の周りはうっすらと青みがかっているんです」
-えっ?耳のあたりの鮮明な茶色い部分も薄くなるんですか?
「先生は“耳は変わらない”と言っていました(笑い)。さっき話したことと矛盾しているんですけどね。どうやら耳の部分は茶色いままのようです」
-いつもパドックを見ています。橋本さんはファンサービスを欠かしませんね。ブチ柄のコスチュームを続けるのは大変じゃないですか?
「最初がシャツで、2回目がネクタイ。そのあとはネックウォーマーにヘルメット。前回は手袋でした。ネタが尽きるまでやりますよ!」
-ご家族も応援しているでしょう。ブチコは先日、2勝目を挙げましたし、これからが楽しみですね。
「ウチの奥さんは毎回、競馬場に来て応援してくれています。今では僕らのカメラマンになってくれていますよ(笑い)。産まれて半年になる息子がいますが、ブチコも入厩して半年。今のところは、息子といる時間よりもブチコといる方が長いぐらいです(笑い)。次のチューリップ賞(3月7日・阪神、芝1600メートル)も頑張りたいですね。コスチューム?もう決めていますよ。応援してください!」
次は武豊Jとの新コンビで重賞に初挑戦。果たして、橋本助手はどんな姿でパドックに現れるのか-。皆さんも注目してください。(デイリースポーツ・松浦孝司)