日本人内野手なぜメジャーで低評価?

 ゴールデングラブ賞を獲得し、日本球界トップクラスの遊撃手でもメジャーの評価は上がらなかった。昨オフ、阪神残留を決めた鳥谷。フルイニング出場できる体力と、堅実な守備力を持ってしても、メジャーでの価値は二塁手か内野の控えだったと言われる。

 今年で34歳と年齢面のハンデもあったのかもしれない。ただ総じて日本人内野手の評価を下げている要因がある。かつてロッテ時代にバレンタイン監督が「日本人内野手が向こうで活躍するにはまず、天然芝に対応しないといけない」と語っていたように、グラウンドへの対応だ。

 日本では野球を始めた時から土のグラウンドでプレーする。ステージが上がるに連れて人工芝はあっても、内野総天然芝のグラウンドは数えるほどしかない。ボテボテの内野ゴロでも勢いを失わず、ある程度のところまでボールは来てくれる。だからこそ、日本ではまず「捕ること」を最優先に指導される。

 両足をしっかり開き、グラブを地面に落としてボールが来るのを待つ。イレギュラーバウンドにも対応できる捕球姿勢を、少年野球の時代からたたき込まれる。土や人工芝でプレーする上では最善の方法。だがこの時点でメジャーでプレーする内野手とは“差”が生まれる。

 かつて日本生命監督として黄金時代を築き、国際大会の経験も豊富な関大・早瀬万豊(かずとよ)監督は「向こうの選手は捕ることよりも、いかにアウトにするかを考えてプレーしている」と語る。特にアマ野球最強とうたわれたキューバの選手は、“アウトにする”という結論を念頭に、どう捕ればいいか、どう投げればいいかを考えるという。

 日本ではまず捕球し、しっかりとスローイングした結果がアウトという順番。ここで明らかな文化の違いが生まれている。その一端と考えられるのがグラウンド環境。内野総天然芝のグラウンドは打球の勢いが失われるため、待って捕球していてはアウトにすることはできない。

 またデコボコのグラウンドであればゴロの転がり方も不規則。幼少期からそんな環境でプレーしていれば、自然と柔らかいグラブさばきが身につく。たとえ体勢が崩れても投げられる“引き出し”を多く持っている。具体例がDeNAのグリエル。どんな難しい体勢からもスローイングし、ハンドリングの柔らかさは明らかに日本人内野手とは異質だ。

 「バックハンドで捕球するというのは、アウトにするために、とても有効な手段の一つ。でもそのやり方が分からないという選手が多かった」と早瀬監督は明かす。アウトにするために-。関大ではその意識改革から着手し、昨秋、就任1年目でリーグ制覇へ導いた要因の一端にもなった。

 ただ日本の現状を考えれば、アマチュアで使用するグラウンド環境を変えるのは難しく、内野総天然芝を導入するには莫大な費用がかかる。捕球姿勢を取ることは日本でプレーする以上、最善の方法。そんな文化の違いを乗り越えられる日本人内野手が、メジャーで活躍する日は来るだろうか。

(デイリースポーツ・重松健三)

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