「次は中心で」C大阪山口蛍の強い自覚
バヒド・ハリルホジッチ監督(62)の初陣となる国際親善試合・チュニジア戦(27日、大銀ド)、ウズベキスタン戦(31日、味スタ)に臨む日本代表メンバーが19日に発表された。負傷者も含む31人にバックアップメンバー12人を加えた計43人という異例の人数が選出され、早くも独自色を鮮明にした。
日本代表歴代最多152試合出場を誇るMF遠藤保仁(35)=G大阪=が落選した中盤には7人が名を連ね、MF山口蛍(24)=C大阪=が昨年6月のブラジルW杯以来、約9カ月ぶりに代表復帰を果たした。J2から唯一の選出となった山口は「選んでもらえて率直にうれしい」と喜びを隠さなかった。
山口は昨年8月9日のJ1第19節FC東京戦(ヤンマー)で右膝外側半月板を損傷。一時は練習に復帰したが、9月17日の練習中に再び同じ箇所を痛めて離脱。同26日に都内で手術に踏み切り、全治3カ月と診断された。手術後は約2カ月間チームを離れ、JISS(国立スポーツ科学センター)でリハビリに努め昨季終盤を棒に振った。
3月8日のJ2開幕東京V戦(味スタ)で211日ぶりに公式戦のピッチに立ち、フル出場を果たした山口は「90分間できたことは良かった」と安堵の表情を浮かべ、視察に訪れた日本協会の霜田正浩強化担当技術委員長(48)に復調を印象付けた。
続く15日のJ2第2節大宮戦(ヤンマー)でも90分間プレーした山口だったが、約7カ月間も公式戦から遠ざかっていた後、わずか2試合をこなしただけとあって、「少し不安というか、選ばれないかなという思いもあった」と素直な胸中を明かした。
球際の強さには定評があり、ボランチとして頭角を現した山口だが、今季から就任したC大阪アウトゥオリ監督の下では4-3-3のアンカーとして起用され、プレーの幅を広げている。大宮戦では最終ラインに下がってビルドアップに参加し、ボールを散らしながらリズムを生み出し、時には大きなサイドチェンジで攻撃に幅を与えていた。
C大阪の大熊清強化部長(50)は「守備はもちろんいいが、攻撃のつなぎの部分でも成長が見られる」と目を細める。
ユース時代は背番号10を背負ってトップ下でプレーした経験もあり、攻撃センスも持ち合わせている。レビー・クルピ監督(62)が率いた13年序盤は4-4-2の右MFでプレーし、第17節までに6得点を挙げた。
中盤であらゆる役割をこなせる山口について、アウトゥオリ監督は「どの監督でも一番欲しいと思う選手」と賛辞を惜しまない。ハリルホジッチ監督にとっても、代えのきかない選手となれる可能性を十分に秘めている。
代表の新指揮官についての情報は既に把握している。山口は「戦うチームを作っているということはW杯でも知っている。同じスタメンがないというのも聞いているし、それだけ全員にハードワークを求めているということなので、しっかりと走って戦いたい」と意気込んだ。
1次リーグ敗退に終わった昨夏のブラジルW杯では全3試合に出場したが、チームがW杯出場を決めた後での代表入りだったこともあり、「主力という意識ではなかった」と漏らした。3年後は違う。27歳で迎える18年ロシアW杯へ「ロンドン(五輪)に出ていたメンバーがいい年齢になってくるし、そういう選手が引っ張っていかなくてはいけない。次はチームの中心として出たい」。山口は強い自覚をにじませ、再び日の丸を纏(まと)う。
(デイリースポーツ・山本直弘)