キムタクドラマ「決めゼリフ」が鍵!?
SMAP・木村拓哉(42)のテレビ朝日連続ドラマ初主演作「アイムホーム」(木曜、後9・00)が4月16日からスタートする。“視聴率男”木村は子持ちの父親役でホームドラマに挑み、女優・上戸彩(29)と夫婦役でドラマ初共演。同局の人気ドラマ「ドクターX」と同枠など話題も多く、4月期ドラマの中でも注目度は高い。“絶対に負けられない戦い”に挑む同局の横地郁英ゼネラルプロデューサーの取材をもとにヒットの鍵を探る。
ドラマは、テレ朝が社を挙げて送り続けたラブコールが実り、木村の連ドラ主演が実現。横地氏は「木村さんがホームドラマをやるという新鮮さを考えた。インパクトある作品を探す中で『アイムホーム』にたどり着いた」。「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で97~98年に連載された石坂啓氏の同名漫画を原作に決めた。
作品は単身赴任先で起きた事故で直近5年間の記憶が曖昧になってしまった、木村演じる家路久(いえじ・ひさし)が、手元に残った10本の鍵を元に、過去の自分を探す。久は記憶を失ったことから、5年前に再婚した妻の恵(上戸)や子供が仮面を付けたように見えるという設定だ。
ドラマの骨子も決まり放送に向けて動き出したが、「プレッシャーは、メチャメチャありますよね。注目されますから」と重圧と戦う横地氏。初回視聴率も注目されるが、「言い数字はとりたいですけど、今は『面白い台本を作って、面白いドラマを最後まで作りたい』としか、いえない」と制作に奔走する。
アイデアを振り絞る横地氏が楽しい作品に仕上げるために考えた要素の中で注目なのが、「決めゼリフ」と「後味の良さ」が挙げられる。
近年、「ヒットドラマに名言あり」の傾向が見られる。日本テレビ系「家政婦のミタ」(11年)は「承知しました」、TBS系「半沢直樹」(13年)は「倍返しだ!」、「ドクターX」シリーズ(12~14年)は「いたしません」「私、失敗しないので」と流行になった決めゼリフが残されている。
もともと、自身の手掛けたドラマに大好きな決めゼリフを用意してきた横地氏は今作でも、「用意してますね。ひとつしかないけど、定着すればいいなと思っています。木村さんに、やっていただいてみて、どうなるか。1話から出ます」と準備していることを明かす。具体的な言葉は本番まで秘密としたが、「主人公は記憶がないから忘れないようにメモをするんですね。そこでいう言葉が決めゼリフっぽくなるかも」と期待している。
もう一つは視聴後の「後味の良さ」。「半沢-」「ドクターX」は強者に打ち勝つ様が爽快感を残した。「アイムホーム」も、見た後にスッキリした作品作りを心がけているといい、横地氏は「原作は苦さや暗さが味だったりしますが、ドラマでは明るさ、コミカルな要素、後味の良さを気にしながらやっています」と語る。
バラエディーでも活躍する木村もコミカルシーンは楽しんでいるようで、横地氏は「コミカルシーンはのってらっしゃる。コメディーの才能もすごくある方。(現場を)ひっぱっている」と手応えを口にする。
制作にも力を入れている。今月15日にクラインクイン。最初の撮影は主人公が記憶をなくす爆発事故のシーンだった。横地氏は「大規模な撮影から入りました。スタッフも普段の倍ぐらい」と大がかりな撮影でインパクトある画を撮影。手の込んだ作品に仕上げていくつもりだ。
初回ゲスト出演は俳優・香川照之(49)に決定。今後のゲスト、上戸らの仮面姿、物語のキーとなる10本の鍵の増減など見どころは盛りだくさん。コミカルとシリアスの両シーンに手応えを見せる横地氏は「笑いながら泣けるようなドラマとして期待していただきたい」。視聴者の共感を呼ぶ決めゼリフや後味を残した先に、好結果が待っている。
(デイリースポーツ・上野明彦)