若虎がこぞって取り組むワインドアップ
大きく振りかぶり、足を振り上げてダイナミックに力強い球を投げ込む。かつて往年の名投手と言われた選手の多くは、ワインドアップ投法を用いていた。だが昨今は、制球力を追い求めセットポジションから投球する選手が増えてきている。
そんな中、最近の阪神2軍投手陣はこぞってワインドアップ投法を試し始めている。二神、秋山、そしてドラフト1位・横山(新日鉄住金鹿島)。ドラ1左腕は社会人3年目に入り「制球力を重視したいと思ったので」とセットに変更したという。プロ入り後も継続して投げてきたが「小さくまとまりたくない」と今春ワインドアップ投法に戻した。
3月28日のウエスタン・広島戦(由宇)で5回1安打無失点の快投。高校時代、そして社会人2年目までワインドアップで投げていたことから「違和感もなくてあまり気にならなかったですね。しっくりきました」と自然体だった。今後も継続していくという。
躍動感、リズム感…。ワインドアップ投法にはいくつもの利点がある。ただその中で、香田2軍投手コーチは「肩甲骨」の動きに注目していた。
「両腕を大きく上に上げることによって肩甲骨が動くだろ?それはピッチャーにとって、いいことばかりなんだよ。骨盤も連動して動くし関節も動く。投球動作にもつながるよね。腕を上げることによって、集中力も高まるらしいよ」。
巨人の投手コーチ時代は、内海や山口などの指導にあたった。「内海とかきれいなワインドアップだろ?ピッチャーとして必要な打者に向かっていく気持ちだとか、闘争心も表現しやすいしね」と自身の経験も踏まえた考えを明かした。
横山も「肩甲骨が動くのは感じますね。まだそれが投球につながるのかは実感できませんけど。気持ち的な部分は乗ってきます。それとちょうどいい間ができますね」と手応えを感じている。
全身運動を誘発することから、肩肘への負担もセットポジションより少ないという。香田コーチは「能見に習え」とワインドアップのお手本を示した。投球動作の癖が出やすいという短所もある。ただ、ワインドアップは捨てがたい。
(デイリースポーツ・中野雄太)